2014 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍性大腸炎の炎症性粘膜における発癌と浸潤に関わる蛋白の解明:プロテオミクス解析
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24590426
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
三上 哲夫 東邦大学, 医学部, 教授 (90286352)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
発癌機構における重要な経路として、慢性臓器炎からの発癌が注目されている。潰瘍性大腸炎関連腫瘍における細胞接着因子CD44タンパクの動態に着目して研究を進めてきた。潰瘍性大腸炎関連癌の発癌経路におけるCD44の発現について、前年度までの解析により、CD44の細胞外ドメインの発現が潰瘍性大腸炎関連腫瘍では、通常の大腸腫瘍に比較して有意に低いことが示されている。本年度はその理由を解明するために、CD44の分解に関わるとされる酵素ADAM17について、潰瘍性大腸炎関連の軽度異形成44病変、高度異形成49病変、浸潤癌52病変における発現を、通常の大腸の軽度異型腺腫32、高度異型腺腫33、浸潤癌96例を対照にして免疫組織化学染色により検討した。潰瘍性大腸炎関連異形成でははっきりしなかったものの、潰瘍性大腸炎関連癌におけるADAM17の発現は通常の大腸癌に比して有意に高い結果であった。この結果については、今後さらに定量的解析により検証する予定である。 潰瘍性大腸炎の炎症粘膜においては、Carbonic anhydrase 2(CA2)の発現が正常の大腸粘膜に比べて減少していることを前年度までに示してきたが、このアイソザイムであるCA9の発現は正常粘膜、潰瘍性大腸炎粘膜、憩室炎の粘膜において有意な差がみられず、CA2に特異的であることが判明した。このCA2の発現についてはさらに潰瘍性大腸炎の粘膜における発現をウエスタンブロットにより確認した。 潰瘍性大腸炎の発癌経路および炎症粘膜は、通常の発癌や炎症と明らかに異なる性質を有しており、今後、発癌予防や、抗炎症療法に対するターゲットを考える上で重要な所見と考えられる。
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Research Products
(1 results)