2013 Fiscal Year Research-status Report
微小乳頭成分を有する肺腺癌の高い脈管侵襲・転移能に寄与する因子の解明
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24590427
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
蒋 世旭 北里大学, 医学部, 准教授 (70276153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長塩 亮 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (40618568)
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Keywords | 肺癌 / 微小乳頭腺癌 / vimentin / 浸潤 / 転移 / 予後因子 |
Research Abstract |
肺癌は癌死原因の第一位であり、そのうち肺腺癌の増加が顕著であり、本邦では腺癌が肺癌全体の約50%、女性肺癌の約70%を占める。肺腺癌のうち、線維・血管の芯を持たない腫瘍の微小乳頭成分(micropapillary component, MPC)を有するものは高度のリンパ管侵襲・転移を起こすため予後が有意に悪い。しかし、依然、MPCの高い浸潤・転移能を規定する因子は全く不明である。 平成24年度の研究結果と併せて、MPCが腫瘍全体の1%以上を占める症例を、計101例を確定診断した。臨床病理学的検討では、MPCを有しない(non-MPC)群に比べ、MPC群のリンパ管侵襲、静脈侵襲、リンパ節転移と術後up-staging及び術後病理病期の頻度・程度が有意に高く、non-MPC群よりMPC群の全生存期間と無再発生存期間は何れも有意に短かった。MPC肺腺癌は独立した一つの高悪性度の臨床病理学的疾患単位であることを再確認した。 平成24年度の二次元電気泳動によるプロテオーム解析で、MPC腺癌におけるvimentinの量的発現はnon-MPC腺癌の2.2倍であった。平成25年度の基礎的研究では、免疫組織化学染色による半定量的検討を行ったところ、non-MPC群よりMPC群におけるvimentinのin vivo発現が有意に高いことを明らかにした。また、MPC群においてvimentin発現は腫瘍の脈管侵襲とリンパ節転移に有意に相関し、多変量解析にてvimentinの高発現が予後不良因子であった。MPCにおけるvimentinの高発現は、MPCのより低分化な性質ないし脱分化を反映している可能性がある。 平成25年度では、MPC患者の胸水から一つ細胞株の樹立に成功した。現在、その細胞株の生物学的特性を詳細に検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の如く。しかし、cDNAマイクロアレイによるMPC群とnon-MPC群の網羅的遺伝子発現の比較解析は、予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 腫瘍成分のmicrodissectionに基づいたcDNAマイクロアレイにて、MPC腺癌とnon-MPC腺癌における遺伝子発現の差異を解析する。 2. 平成25年度に樹立したMPC細胞株の生物学的特性を詳細に解析し、本細胞株を用いて、ランダム免疫法によるMPC特異的単クローン抗体の作成やその認識するタンパク質の同定に努める。 3. 術前生検材料でMPCが含まれることが判明された症例の手術材料を用いる細胞培養を行い、新たなMPC細胞株の樹立を試みる。 4. 得られた研究結果の分析・まとめ、論文作成。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
cDNAマイクロアレイによるMPC群とnon-MPC群の網羅的遺伝子発現の比較解析は、予定より遅れている。 Microdissection消耗品・試薬。cDNAマイクロアレイ解析。単クローン抗体作製試薬・動物飼育。細胞培養用試薬・免疫染色試薬・消耗品。プロテオーム解析試薬・器具類。論文校正・投稿・掲載。
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Research Products
(3 results)