2012 Fiscal Year Research-status Report
心筋架橋の解剖学的特性によるずり応力変化を介した粥状硬化と心筋梗塞発生機構
Project/Area Number |
24590432
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
石川 由起雄 東邦大学, 医学部, 准教授 (30276894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 喜清 東邦大学, 医学部, 教授 (60202511)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 心筋架橋 / 冠状動脈硬化症 / 心筋梗塞 |
Research Abstract |
本研究は、左冠状動脈前下行枝(LAD)に認められる心筋架橋が、LAD内膜の粥状動脈硬化症の分布に影響し、LAD内腔狭窄度にいかなる変化をもたらすかを検討することを目的とする。殊に心筋架橋より近位のLAD内膜に高度な内膜病変が生じ、心筋梗塞の原因となることがある。そのために剖検心を灌流固定し、LAD全長を5mm間隔に切り出し、HE及びEVG染色を施し、各切片について、画像解析にて、内膜面積、中膜面積、内腔面積を計測。これらより内腔狭窄度を算出する。 本年度まで灌流固定したLADを130例蒐集し、そのうち124例について画像解析にて内腔狭窄度を計測した。心筋架橋を有する場合には、架橋下のLAD内膜には粥状動脈硬化症の進展が抑制され、一方、心筋架橋の近位部内膜には、粥腫の形成およびその進展が観察され、従って、内膜に生じた病変の程度の指標としての動脈硬化度(内膜面積/中膜面積の比率)は、心筋架橋下ではその近位部のそれに比して、有意に低い傾向を示した。また、内腔狭窄度と動脈硬化度との関連については、未だ正確な統計学的検討を行っていないが、ほぼ比例していると思われ、動脈硬化度の大きい場合は内腔狭窄度も大きい傾向を示していた。 LAD近位部の内腔狭窄度は、心筋架橋の解剖学的特性により大きく影響を受けていると考えられるが、現在蒐集されたLAD130例中、79例(61%)に心筋架橋が検出された。個々の症例における心筋架橋の厚さ、長さ、存在位置を計測したが、まだ目標の症例数に至っていないので、統計学的検討は行っていない。 今後、心筋架橋の有無により、LAD内膜病変および内腔狭窄度の変動も統計比較するが、灌流固定したLAD200例を目標としているので、さらに蒐集する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、灌流固定したLAD全長組織を200例蒐集することを目標としたが、現在、130例にとどまり、今後の剖検例減少傾向を考慮すると、残りの研究期間での200例達成は、難しい状態である。大学病院のみならず、近隣の総合病院の協力も得ているが、それら病院における剖検数減少も大きく影響している。 蒐集したLAD組織の解析は、入手後速やかに処理しており、順調に内膜病変や心筋架橋の計測は行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の灌流固定したLAD組織は、目標数を大きく下回っているため、今後は、さらに協力病院を増やす必要性がある。本大学の付属病院のみならず、冠状動脈の灌流固定に賛同し、倫理委員会を通じた許可を得るよう努力する。 研究内容としては、材料であるLAD組織があれば、順次、解析が適切に行えるようなシステムが確率されているので、問題なく進行すると思われる。 統計学的検討は、なるべく重複を避けるために、目標症例数が整った時点で、総合的施行するのが最適であるが、150例を蒐集した時点で、大まかな解析結果を出そうと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)