2013 Fiscal Year Research-status Report
心筋架橋の解剖学的特性によるずり応力変化を介した粥状硬化と心筋梗塞発生機構
Project/Area Number |
24590432
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
石川 由起雄 東邦大学, 医学部, 客員講師 (30276894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 喜清 東邦大学, 医学部, 教授 (60202511)
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Keywords | 心筋架橋 / 冠状動脈硬化 / 心筋梗塞 |
Research Abstract |
本研究計画の2年目。左冠状動脈前下行枝(LAD)に認められる心筋架橋のLAD内腔狭窄度に与える影響を検討することを目的とする。過去の研究では、心筋架橋のLAD内膜病変進展に与える影響、さらには心筋梗塞発生への関与について検討してきたが、明らかに厚くて長い心筋架橋は、LAD近位の内膜病変の進展に強く影響し、心筋梗塞の発症の原因と考えられた。その結果から、心筋梗塞の解剖学的危険因子としての心筋架橋の特徴を検討し、臨床的に危険な心筋架橋の同定を目指し、LAD内腔狭窄度に与える心筋架橋の特徴を検討する訳である。 昨年度は、灌流固定のできた病理解剖例をさらに蒐集し、合計142例となった。しかし、予定の200例蒐集にはほど遠く、予定の研究費も全額使用するに至らなかった。これは大学病院および各協力病院のおける病理解剖例の減少によるもので、全国的な傾向でもある。したがって、本年度はさらに積極的に病理解剖例の蒐集に努めなくてはならない。蒐集した症例については、画像解析にてLAD内腔狭窄度を測定し、心筋架橋のある症例については、その厚さおよび長さ、さらに被覆する位置を測定した。また、5mm間隔の切離した標本を観察し、各切片ごとに内膜病変種を同定した。内膜の動脈硬化度は、内膜面積を中膜面積で除した値とし、内腔狭窄度と動脈硬化度の関連性をも統計学的に検討している。現在のところ、内腔狭窄度は動脈硬化度と相関し、心筋架橋が長く厚い場合には、LAD近位の内腔狭窄度が増加していた。しかし、未だ多変量解析を行っていない。 本年度は、さらに症例を追加して、それらのLADを同様に解析し、様々な統計学的解析を施行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の当初の計画では、冠状動脈を灌流固定した症例を200例蒐集する予定であったが、全国的に病理解剖例の減少傾向があり、当研究室においても目的とする症例蒐集は予定通りすすまず、本年度はさらに協力病院を増やし、症例蒐集に努力したい。 また、これに伴い統計学的検討も遅れている。症例が充分揃わないと多変量解析を施行できないため、総合的な判断がなされていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、できる限り症例蒐集に尽力したい。本研究は多数の症例を解析する必要があるので、協力病院を増やすことに努力する必要がある。もし、症例数が目標に達しない場合には、早めに症例数を区切って、全体の統計学的解析に移るべきであると考えている。 本年度の秋頃には、本格的に統計学的解析を実施する方向で症例を処理するべきである。したがって、新たに得た症例は、組織学的な観察を含めて画像解析を迅速に処理する必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定の症例蒐集が、大幅に少なくなり、冠状動脈の組織切片作製、種々の染色、画像解析の保存など、使用すべき研究費が減少した。 剖検心を蒐集し、潅流固定後LADの計測用のHE染色およびEVG染色が必要である。その際に必要なミクロトームの替刃やスライドグラス、染色液、試薬などの購入に充てる。また画像解析によるLAD内腔狭窄度の測定のため、画像データの管理、保存用の電子媒体を購入する。多種の免疫染色を施行するため、免疫染色用の試薬、バッファー類、各種抗体を購入する。染色、画像処理に関して時間を短縮するため、人件費として使用することも予定している。
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