2013 Fiscal Year Research-status Report
交感神経系神経堤幹細胞及び神経芽腫幹細胞の分離同定と分化階層の解析
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24590434
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Research Institution | The Japanese Red Cross Toyota College of Nursing |
Principal Investigator |
黒川 景 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 教授 (90399030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩下 寿秀 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00283432)
村上 秀樹 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (90303619)
佐賀 信介 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40144141)
川井 久美 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50362231)
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Keywords | 副腎髄質 / 神経芽腫 / 交感神経神経堤幹細胞 / 神経芽腫幹細胞 |
Research Abstract |
① 神経芽腫細胞のside populationと分化能の解析 ヒトの神経芽腫の細胞株では、神経突起様の形態(N-type)と、平たく広い細胞質を示す形態(S-type)が混在し、それぞれの表面マーカーがCD24(+)CD44(-)、CD24(-)CD44(+)であることが昨年度の研究で明らかになったが、腫瘍幹細胞の表面マーカーを明らかにするために、これら表面マーカーとHoechst33342色素によるside populationの分画との関係をFACSを用いて検討した。Side populationの分画は、CD24(+/-)CD44(-)と判断される結果であった。 ② 副腎髄質細胞のマーカーの検討 マウスの副腎髄質から、交感神経系幹細胞の分画を得る第一歩として、生きた細胞の状態で副腎髄質の細胞を皮質の細胞と分離する必要がある。固定標本では、副腎皮質の細胞質内のマーカーを用いて染色し識別する方法があるが、生細胞で表面マーカーを用いた分離法の記載はない。そこで、生細胞でも固定材料でも皮質の脂肪滴を染色する色素であるNile Redを用いた。固定後の切片では、副腎皮質細胞が染色され、488nmの励起で緑色蛍光を発することが確認された。コラゲナーゼおよびトリプシン処理して単一細胞化し、488nmの励起波長で、生細胞でも副腎皮質細胞の分画が検出できることを確認した。 さらに、副腎由来細胞のside population分画の検討に着手したが、今のところ分画が得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
① 神経芽腫細胞のside populationと分化能の解析 昨年3月末に、愛知医科大学高度研究機器部門に新型のセルソーター(BD社FACS AriaIII)が導入され、side populationの検討が可能となったが、神経芽腫細胞株を培養している途中で、現れていたside populationの分画が不明瞭になるという現象があり、実験系が安定しない。このため、side populationの分画の細胞を分取するには至っていない。 ② 副腎髄質マーカーの検討 副腎髄質の細胞を得るために、Nile Red陽性の副腎皮質の細胞を除去することが有効であることがわかったが、皮質細胞の脂肪滴の明瞭な高齢マウスに比べて、生後6週程度のマウスでは、Nile Redのシグナルが弱い。 副腎髄質幹細胞および神経芽腫幹細胞を得るための新たな分画法を確立するうえで、実験系の不安定な点や、技術的な問題点により、研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、FACSや蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡等の研究機器の整った前任地の愛知医科大学との共同研究の形で実施しているが、現任地にて画像や実験データの処理を行うことのできる環境を整備する目的で、今年度は顕微鏡の部品をそろえ、顕微鏡写真撮影装置や画像処理ソフトウェアを購入した。一通りの機器は整った状態であるため、研究の遅れを取り戻すために、実験系の安定を図るためことに重点を置く。特にside populationの検討では、Hoechst 33342の濃度や反応時間など、side population分画を安定的に得られる条件を確立し、得られた分画のsphere 形成能の実験を進め、副腎髄質幹細胞および神経芽腫幹細胞を多く含む分画の解明に努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者および研究分担者それぞれで各2万円以内の未使用額が生じているが、無理に年度内に消化するのではなく、次年度に有効に使用する方針とした。 未使用額自体が比較的少額であるため、次年度予算と合算して、必要な試薬購入に充てる。
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