2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590435
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
羽尾 裕之 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (40393243)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腹部大動脈瘤 / 鉄 / 炎症 / 酸化ストレス / アンギオテンシン / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
手術および剖検で得られた病理組織切片を用いて、大動脈瘤壁に鉄の過剰蓄積が認められることを初めて証明した。これらの鉄の過剰蓄積は大動脈瘤壁に浸潤しているマクロファージにみられ、酸化ストレスマーカーである8-Hydroxy-2'-deoxyguanosineの局在と一致していた。またtransferrin receptor 1 (TfR1)の発現が同部にみられ、鉄の取り込みにTfR1が関与している可能性が考えられた。 Apolipoprotein E (Apo E)欠損マウスに対するAngiotensin II持続投与による大動脈瘤マウスモデルを作成して鉄の過剰蓄積と酸化ストレスの関与を検討したところ、ヒト大動脈瘤壁と同様の結果が得られた。大動脈瘤マウスモデルに鉄制限餌を与えたところ、大動脈瘤の形成が鉄制限餌で劇的に抑制された。これらの鉄制限餌による瘤形成抑制作用は、IL-6やTGF-βなどの炎症性サイトカイン, コラーゲン, Matrix metalloproteinase (MMP)の発現抑制とc-Jun N-terminal kinase (JNK)のリン酸化の抑制を伴っていた。これらの因子の発現制御が瘤形成の抑制効果をもたらしたと考えた。 マクロファージ培養細胞を用いたin vitroにおける機能解析では、培養中に鉄のキレート剤を添加することでAngiotensin IIによるMMP-9の活性化とJNKリン酸化の両者の有意な抑制が認められた。 本研究より大動脈瘤の非侵襲的治療戦略として、鉄制限食が有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ヒト大動脈瘤組織標本で鉄の過剰蓄積が証明され、同部では組織傷害を引き起こす酸化ストレスマーカーが陽性であった。大動脈瘤形成における鉄代謝の関与が示唆された。マウス大動脈瘤モデルを用いた鉄制限餌にて瘤径の縮小効果を期待したが、瘤の形成が大部分のマウスで完全に抑制されたことは予想以上の素晴らしい成果であった。さらに培養細胞を用いた機能解析を遂行することができたため、本研究は計画以上の成果が得られたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
大動脈瘤形成関連因子として、鉄代謝の関与を明らかにしたが、ヒト大動脈瘤形成には多くの因子が関与していると思われる。また鉄は生体内では必須の物質であり、完全な制限は不可能である。その点が治療への応用を成功させるうえで大きな課題である。そこで今後の研究の推進として、現在検討中である小胞体ストレス関連分子、平滑筋細胞分化に関与する細胞骨格蛋白の役割について継続して研究を行い、今回の結果から得られた鉄代謝制御とのハイブリッド治療の可能性を模索する。
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Causes of Carryover |
大動脈瘤形成機序における鉄代謝の関与の検討を終了し、予算の残が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大動脈瘤の形成機序における小胞体ストレスの関与を継続して検討するため、動物モデル作成のためのAngiotensinⅡや薬剤持続投与のための皮下植え込み型薬剤持続投与ポンプの購入に充てる。
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[Presentation] Iron involvement in human abdominal aortic aneurysm.2014
Author(s)
Sawada H, Naito Y, Hao H, Oboshi M, Iwasaku T, Okuhara Y, Morisawa D, Eguchi A, Hirotani S, Hirota S, Miyamoto Y, Ohyanagi M, Masuyama T
Organizer
The 18th International Vascular Biology Meeting
Place of Presentation
京都
Year and Date
2014-04-15