2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24590435
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
羽尾 裕之 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (40393243)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大動脈瘤 / 小胞体ストレス / 血管平滑筋細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈瘤の形成には動脈硬化が背景にあることは知られているが、その成因は不明な点が多い。我々は昨年度までの検討で、ヒト大動脈瘤壁の病理組織検体およびApolipoprotein E遺伝子欠損マウスに対するAngiontensinⅡ持続投与による大動脈瘤マウスモデルを用いて、鉄代謝が大動脈瘤形成に重要な役割を果たしていることを明らかにした。 更に本年度は大動脈瘤の形成機序への小胞体ストレスの関与を疑い、ヒト大動脈瘤壁およびこれまでの検討で用いてきたマウスモデルにおいて、小胞体ストレス関連分子の遺伝子および蛋白の発現を検討した。興味深いことにヒトおよびマウスモデルにおいて、正常の大動脈壁と比較し、大動脈瘤壁で小胞体ストレス関連分子の発現が著明に増強しており、同分子の病態への重要な関連が疑われた。 また、大動脈壁を構成する主たる細胞成分である血管平滑筋細胞の分化も瘤形成には重要な役割を果たしている可能性がある。しかし、これまで平滑筋細胞の分化の大動脈瘤形成への関与は明らかにされていない。我々は平滑筋細胞の分化マーカーであるsmoothelinおよびS100A4の蛋白発現について、ヒトおよびマウスモデルの大動脈瘤壁を用いて検討を行った。ヒト大動脈瘤壁の平滑筋細胞では高分化平滑筋細胞マーカーであるsmoothelinの蛋白発現が著明に減弱していた。さらに脱分化平滑筋細胞マーカーであるS100A4の蛋白分布は大動脈瘤壁近傍の血管平滑筋細胞にて発現が増強していた。大動脈瘤形成機序の平滑筋細胞の分化の関与が示唆される予備データが得られた。 今後、追加で行った本年度の研究成果から、更なる大動脈瘤形成機序の解明に向けた検討を行い、病態解明と新規治療の開発を目的として研究を継続させたい。
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