2013 Fiscal Year Research-status Report
癌微小環境における間質線維芽細胞の組織型による機能比較
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24590442
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三木 康宏 東北大学, 災害科学国際研究所, 講師 (50451521)
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Keywords | 扁平上皮癌 / 腺癌 / 3次元培養 |
Research Abstract |
癌間質相互作用を解析するin vitroモデルとして、3次元培養によるスフェロイド作成を行った。今回の3次元培養には、Rotary Cell Culture Systemを用いた。この方法では、重力が細胞に与えるストレスを最低限に抑えるために細胞培養器を回転させ、培地中の細胞を常に浮遊させた状態で培養を行うことができる。培養器として円盤形の10mL回転ベッセルおよび培養用50mL遠沈管を使用し、扁平上皮癌(口腔癌)および腺癌(乳癌)の培養細胞株を培養した。結果、培養一週間後に口腔癌(HSE-4)はいずれの培養器においても5mm大のスフェロイドを形成した。形態は回転ベッセルは円盤状、50mL遠沈管は不整形だった。得られたスフェロイドはホルマリン固定後、パラフィン包埋を行い、組織観察に用いた。組織学的観察では、両培養器ともに細胞塊は細胞質が豊富な細胞から構成され、最辺縁部(最外層)の細胞は線維状に版化しており、エオジン好性の染色を示した。乳癌(MCF-7)では同様に、一周間後に1-5mm大の細胞結合の弱い不整形のスフェロイドが得られた。組織学的観察では、明らかな線腔(腺管)状の構造は認められなかった。以上結果から、本培養法で扁平上皮癌では角化様の形態を示すと示唆された。今後、サイトケラチンや増殖関連因子(EGFR、Ki-67)の免疫組織化学を行い、作成したスフェロイドの性質を明らかにしていく。今回、乳癌では明らかな腺腔構造を確認しできなかったが、間質細胞と混合3次元培養を行うことで、形態が変化するのではと考えている。今後、さらにそれぞれの組織型の間質細胞と混合3次元培養を行い、上皮細胞の組織形態へおよぼす影響を評価していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の検討では、癌間質相互作用を解析するin vitroモデルとして3次元培養を試みた。3次元培養については扁平上皮癌、腺癌ともに数多く報告されているが、今回我々はRotary Cell Culture Systemを採用した。その結果得られた結果は、これまでの3次元培養では得られない生体に近い状況で培養細胞を観察できていると考えられた。今後その性質を詳細に検討する必要はあるが、今年度はその方法と観察法を確立することができため、大きな成果が得られたと判断する。今年度は動物実験を計画していたが、上記の3次元培養法は動物実験代替にもつながると考えられ、次年度以降に実施する動物実験の動物数を削減できるのではと考えられる。以上、当初予定から変更はあったものの、その計画と同等もしくはそれ以上の成果が得られたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、作成したスフェロイドの性質の確認[サイトケラチン、増殖関連因子(EGFR、Ki-67)の免疫組織化学]を行う。また、昨年度までに得られた癌間質培養細胞を用い、混合3次元培養を行うことで上皮細胞の組織形態、その機能へおよぼす影響を評価していく。この検討では扁平上皮癌-腺癌間質細胞のように組織型の異なる細胞の組み合わせも検討する。 さらに、当初計画通りに動物実験へと展開し、得られた結果をヒト組織で検証していく。動物実験に関しては、移植する細胞の形態(シングルセルあるいはスフェロイド)について、in vitroの結果を踏まえて検討する。
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