2012 Fiscal Year Research-status Report
胃癌悪性化に関わる第20番染色体長腕上の責任遺伝子の同定
Project/Area Number |
24590446
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
塚本 善之 大分大学, 医学部, 助教 (00433053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 五吉 独立行政法人国立がん研究センター, 臨床開発センター, 研究員 (20158025)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 胃癌 / 20番染色体 |
Research Abstract |
診断技術の進歩により、初期に発見される早期胃癌の治療成績は向上したが、悪性度が高まった進行胃癌の治療成績は良好ではない。この原因として、進行胃癌に対して外科治療以外に効果的な補助療法が確立されていないことが挙げられる。近年、癌発症のメカニズム解明が大きく進み、癌は遺伝子異常の蓄積によって引き起こされることが明らかとなってきた。そしてその異常を標的とする分子標的治療が急速に進歩している。これまで多くの研究グループが胃癌の網羅的遺伝子異常解析を実施し、多数の標的候補分子を同定してきた。しかし、未だに胃癌の効果的な分子標的治療は確立されていない。この原因として、多数の標的候補の中から実際に胃癌の悪性化を促進させる遺伝子異常を選び出すのが困難であることが考えられる。我々はこの問題点を解決するために、これまでに早期胃癌と進行胃癌のゲノム異常を比較し、胃癌の進行に関わるゲノム異常を探索してきた。その結果、胃癌では染色体20q13領域のゲノム増幅が早期胃癌と比較し、進行胃癌で高頻度であることが明らかとなった。本課題では20q13領域にコードされ、胃癌で過剰発現する8遺伝子についての機能を明らかにすることを目的とする。 本年度は、胃癌組織のリアルタイムPCRを行い、8遺伝子とも全て胃癌組織で発現亢進していることを明らかにした。そのうちDDX27は免疫組織学的にタンパク質レベルで発現亢進していることを明らかにした。培養細胞を使った実験では、siRNAによりDDX27、CEBPBの発現を抑制したところ、MKN74細胞では増殖抑制が見られなかったのに対し、44As3細胞では増殖抑制およびコロニーフォーメーション能の低下も観察された。この結果はDDX27およびCEBPBが癌細胞の生存に重要な役割を果たしていることを示唆する。引き続き、来年度は実験動物を用いた解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は染色体20q13領域にコードされた8遺伝子(CSE1L, DDX27, ZNFX1, B4GALT5, ZNF313, Kua, UBE2V1, CEBPB)の機能を明らかにすることを目標としている。平成25年度は臨床検体におけるこれら8遺伝子の発現量を解析すること、培養細胞において8遺伝子の発現を抑制することにより機能を解析することを目標として実験を行った。実験概要に記すように、全て完了することができ、来年度につながる結果も得られた。したがって、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は胃癌の進行に関わる遺伝子異常を同定し、それに対する分子標的薬を開発し、胃癌治療に役立てたいと考えて研究を行っている。本課題では、胃癌の進行に関わる遺伝子異常として染色体20q13領域を候補に挙げ解析を行う。8遺伝子(CSE1L, DDX27, ZNFX1, B4GALT5, ZNF313, Kua, UBE2V1, CEBPB)の機能を明らかにすることを目標としている。来年度以降は、まず8遺伝子について過剰発現用のレンチウィルスを作製する。引き続き、培養レベルにおける過剰発現の意義、実験動物レベルでの発現抑制および過剰発現の意義を解明することを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、おおむね順調に研究は進展したが、培養実験が計画通り進んでおらず、購入予定だった消耗品を購入しなかったため、未使用額が発生した。その額を次年度に回し、本年度到達できなかった計画と合わせて実行する。 具体的には、候補遺伝子の発現解析として、リアルタイムPCR用マスターMIXおよびプライマー、免疫染色用抗体を購入する。また、候補遺伝子の機能解析として、培養用試薬およびディッシュ一式、siRNA、リポフェクタミン試薬、shRNA、インベージョンチャンバー、Caspase3/7Glo kit、Cell Death Detection kitを購入する。実験動物レベルでは、免疫不全マウス、解剖・手術道具一式を購入する。
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Research Products
(5 results)