2012 Fiscal Year Research-status Report
原発性肺がんの発生・進展に関連する新規責任遺伝子の検索
Project/Area Number |
24590454
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
鹿 智恵 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10408453)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺がん / 遺伝子 |
Research Abstract |
原発性肺がんは、先進国においてはがん死亡原因の一位である。肺がんは、組織学的には腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんおよび小細胞がんに大きく分けられる。組織型の違いにより、発生頻度だけでなく治療方針や臨床経過も異なってくる。最近になって、各組織型の間に遺伝学的にも明らかな相違点があることが確認されている。本研究は、原発性肺がんの各組織型を対象とし、染色体領域にあるマーカーを用いマイクロサテライト解析を行い、肺がんの発生・進展に関連する染色体領域を選出し、最終的に真の責任遺伝子を探し出すことを目的とする。そのため、今年度はサンプルの収集から研究を開始した。具体的には、外科手術により得られた肺がん組織標本のホルマリン固定・パラフィン包埋ブロックからがん部、非がん部および正常組織をマイクロダイセクション法により切除した。その症例の内訳は、細気管支肺胞上皮がんを含む腺房型、乳頭型腺がん138症例、扁平上皮がん55症例、大細胞がん21症例、小細胞がん21症例およびその他特殊型など合計220症例であり、これらから500以上のがん病変組織を採取した。同様に病理解剖により得られた遠隔転移を伴う進行型肺がん40症例の組織標本から原発巣と転移巣の合計180がん病変組織を採取した。更に一部の標本を用いて染色体領域にある既知のマーカーから、日本人肺がん患者においてinformative markerを選出した。現在は、採取された組織から核酸抽出を行い、サンプルとしてマイクロサテライト解析および遺伝子解析を行っている。一方、4番染色体短腕に存在するPROM1についての研究を進めており、肺がんの発生・転移過程におけるPROM1の生物学的機能を解明するため、ヒト胎児を含む正常組織および様々な非腫瘍性組織におけるPROM1タンパク質の発現様式を明らかにした。一部の結果を第9回日米合同癌学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、十分な予備実験を行った結果に基づき開始した課題である。当初、すべてのサンプルを収集してから、網羅的にマイクロサテライト解析を行うことを計画していたため、収集したサンプルを全て-80℃冷凍庫に保存していた。しかし、冷凍庫の故障により、蓄積していた全てのサンプルが使用できなくなってしまった。そのために、再びサンプルを収集し、その都度マイクロサテライト解析を行なうという方針に変更した。また、遅れを取り戻すために、次年度に予定していた遺伝子解析を同時に行うという対策を講じた。当初計画よりやや遅れて進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)引続きサンプルを収集しながら、マイクロサテライト解析を行う方針である。 (2)マイクロサテライト解析の結果に基づき、候補染色体領域から幾つかの候補遺伝子を選出し、その候補遺伝子の構造解析を行う。 (3)同時に候補遺伝子の機能解析を行うために、遺伝子産物であるタンパク質の発現を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、上記の様にアクシデントにより、やや研究が遅れ、そのために予算を十分に使いきれなかった。来年度は、今年度に出来なかった研究と来年度に予定されている研究を行なうことになり、現時点、既に200症例(500病変)以上のサンプルを新たに収集している。引続きこれらサンプルを用い網羅的にマイクロサテライト解析を行っていく予定である。次年度の研究費は、主に解析に必要な試薬購入や研究成果の発表に使う予定である。
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