2012 Fiscal Year Research-status Report
破骨細胞前駆細胞における破骨細胞分化因子受容体(RANK)発現制御機構の解析
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24590461
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
北澤 理子 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00273780)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / RANK / 遺伝子プロモータ / 転写因子 |
Research Abstract |
I) RANK遺伝子の基本転写調節に関する検討、として1)マウス骨髄単球系の分化について、マウス骨髄細胞と培養細胞RAW cellを用いた検討を行った。2)c-Fos/AP-1シグナルによるRANK転写制御の検討、3) RANK発現を制御する転写因子ネットワークの解析に関しては、マウスRANK遺伝子プロモータには、putativeなCRE/AP-1 (-210) が存在する。AP-1 (-210)を含むoligonucleotideを用いた詳細な解析を行うためにnon-RI実験系として、ビオチン標識プローブによるゲルシフトアッセイ系を確立した。3)のNFAT結合配列や血球分化に関与する転写因子MITF、PU.1の結合配列に対しても、ビオチン化プローブにプローブによる解析を施行している。 II) 新規RANK splicing variantによる破骨細胞分化制御機構に関しては、1) マウス骨髄単核細胞から破骨細胞形成段階におけるRANK splicing variantの発現を確認した。ヒトHL60細胞を用いた検討では、RNAのsplicingを制御するsam68に着目して、siRNA導入の影響について解析を進めた。II-2)についてはC56B6J系統にIRES DsRedを用いてvRANK遺伝子改変動物の作成に着手し、svRANK;DsRedマウスのgenotype解析を行った。 さらに、III)骨巨細胞腫に関して、病理組織検体の免疫組織化学や、手術検体を培養条件で維持し、巨細胞や紡錘形細胞の解析を進めている。 成果の一部は、平成24年度に米国骨代謝学会(ASBMR)、第14回国際組織細胞化学会、日本病理学会総会、日本骨代謝学会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
破骨細胞分化とRANK発現制御を検討するために、遺伝子プロモータ領域の転写因子結合配列の機能解析が重要である。本年度は、ビオチン化プローブによるゲルシフトアッセイの実験系を整備した。従来のRI標識プローブと同等以上の検出感度で、所要時間は約1/2であり、円滑な研究計画遂行に寄与した。 骨巨細胞腫に対するモノクローナル抗体を用いた実験を進めることができた。 vRANK遺伝子改変マウスの作成を繰り上げて実施した。 研究成果の一部は、2回の国際学会と2回の国内学会で報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
I) RANK遺伝子の基本転写調節に関する検討に関しては、3)転写因子ネットワークの解析、と4)翻訳開始部位より200bpのCpGメチル化を介する転写制御の解析、を中心に行う。 II) 新規RANK splicing variantによる破骨細胞分化制御に関しては、マウスはRAW264細胞、ヒトはHL60細胞を用い、RNAのsplicingを制御するSam68の機能について解析する。ヒトおよびマウスRANK exon 2a周辺にはSam68の結合するUAAAモチーフが多く見られ、リン酸化シグナルでSam68が活性化されるとRNAの折り畳みを来たし、splicing variantを生じると推定される。Sam68を活性化するシグナルがどのようなものであるか、これまでにvRANK発現を促進するNFATc1やTGFb、PKCがSam68活性化に関与する機構について、検討を加える。 III) STATを介するRANK発現抑制経路に関する検討に関して、マウスでは骨髄マクロファージに対するIL-4処理は、破骨細胞形成分化を抑制し、異物型巨細胞への分化を促進する。これらの状況におけるRANK発現を詳細に解析し、RANK遺伝子プロモータ領域の作用点を明らかにする。 IV) 骨巨細胞腫の解析に関して、病理組織検体を用いた細胞増殖とアポトーシスシグナルの解析、手術検体のDNAや蛋白解析を行う。破骨細胞形成に関わるRANKL-RANK, OPG発現と、腫瘍特異抗原解析の2つの方向から検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度予算執行は当初の計画よりも少額となった。 H23年度末の研究代表者北澤理子の神戸大学から愛媛大学への異動に際して、北澤理子の科学研究費以外の研究費(前任校の繰り越しできないもの)を保存可能な消耗品購入にあてH24年度に引き続き使用したこと、本研究計画執行の前に遺伝子改変動物作成を繰り上げて行ったために、平成24年度予算執行額が少額となった。 一方で研究計画自体は順調に進行しており、今後の遺伝子改変マウスのDNAや組織検体の作成に支出するほか、RANK 発現制御に関する研究や、骨巨細胞腫の病理組織学的検討や蛋白解析、DNA解析などに使用し、円滑な研究計画遂行に努める。
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Research Products
(10 results)