2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体異物相互作用の場としてのいわゆるニッチを介した造血幹細胞動態の制御と加齢影響
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24590467
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
平林 容子 国立医薬品食品衛生研究所, 安全性生物試験研究センター毒性部, 室長 (30291115)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 造血幹・前駆細胞 / 幹細胞ニッチ / 生体異物相互作用 / 細胞周期 / 酸化的ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き、電離放射線やベンゼンといった生体異物による酸化的障害下での、造血幹・前駆細胞とこれを支えるニッチの機能を明らかにすることを計画し、主に放射線の造血幹細胞分画に対する影響に重点を置いて解析を進め、以下の成果を得た。 即ち、2Gyのガンマ線の単回全身照射後、経時的に、造血幹・前駆細胞数、造血幹・前駆細胞における活性酸素種量や細胞動態の計測、及び遺伝子発現解析を行った。尚、照射は6週齢ないし6ヶ月齢で行い、照射時期による応答性の差異も検討した。まず照射直後の分化型の血球や造血幹・前駆細胞分画の数の減少は、6週齢照射群の方が、6ヶ月齢照射群より反応が大きいものの、分化型の血球数はいずれの群でも速やかに回復した。一方、造血幹・前駆細胞分画では、照射の時期によらず、分化階層が低いほど回復が遅延した。また、照射4週後の骨髄細胞における網羅的遺伝子発現解析で浮上した細胞増殖やアポトーシスの関連遺伝子に注目して、21ヶ月齢のマウスの骨髄細胞やLKS分画を定量PCR法で解析したところ、照射の時期によらず、細胞周期関連遺伝子であるCcnd1、Fyn及びPiK3r1の過剰発現がLKS分画でのみ認められた。照射による遷延効果は加齢変化を促進することが示唆されており、ここで得られた結果もこれに符合するものと考えられた。以上の成果をとりまとめて論文として発表した。更にBrdUを2ないし6週間飲水投与してLKS分画の細胞動態を解析したところ、BrdUの標識率は、照射4週目以降22.5ヶ月齢までの計測した全ての時点において照射群で高値だった。一方、倍加時間を反映すると考えられる2週間の標識率に対する6週間の標識率の増加率は、照射群で低値だった。以上、遷延効果には照射時期による差異は認められず、その実態として無効造血の亢進が示唆された。所謂ニッチの役割については同定には至らなかった。
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Research Products
(12 results)