2014 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた新しい大腸癌発生機構の解明
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24590480
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
井上 寛一 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (30176440)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | cyclin D1b / トランスジェニックマウス / 無茎性鋸歯状腺腫 / Erk / Akt |
Outline of Annual Research Achievements |
Cyclin D1b トランスジェニック(Tg)マウスの直腸腫瘍発生機構の解析を行い前年度までにこのTgマウスでは雌の約60%に直腸腫瘍を発生することを明らかにしてきた。今年度はその病理学的解析および分子機構の解析を行い以下の成果を得た。(1) このTgマウスでは腺癌移行の前段階と考えられている無茎性鋸歯状腺腫(sessile serrated adenoma,SSA)様の病理像を示す腫瘍を約60%(15/24)の頻度で見出した。この腫瘍の約50%(8/15)には腺癌(adenocarcinoma)も発生していた。 (2) 発生した直腸腫瘍組織において癌化に関わる様々なシグナル伝達経路や変化を検討したところ、これらの直腸腫瘍ではK-rasやB-raf遺伝子の変異やMEKの活性化は見いだされなかったがAktとErkが活性化されていることを見いだした。この活性化はSSAの段階で生じていた。(3) 293T細胞にCyclinD1bをtransfectionで発現させるとErkとAktが活性化されたがMEKは活性化されなかった。(4) このTgマウスに発生した直腸腫瘍由来の癌細胞株D1bTgRTにAkt阻害剤を処理するとMEKを阻害することなしにErkの活性が阻害された。また、D1bTgRT細胞株はヌードマウスで腫瘍を形成するがこの腫瘍形成はAkt阻害剤によって抑制された。 以上の結果から、cyclin D1bはSSAから腺癌の発生に重要な役割をはたしていること、また、cyclin D1bはAktの活性化を介してErkを活性化していること、さらにAktの活性化が腫瘍の悪性化形質の発現に重要であることがわかった。
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[Journal Article] Female-specific rectal carcinogenesis in cyclin D1b transgenic mice.2014
Author(s)
Kim, C. J., Tambe, Y., Munkaisho, K., Sugihara, H., Isono, T., Sonoda, H., Shimizu, T., Kondoh, G., Inoue, H.
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Journal Title
Carcinogenesis
Volume: 35
Pages: 227-236
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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