2014 Fiscal Year Annual Research Report
自己心筋線維芽細胞を利用した重症心不全治療法の開発
Project/Area Number |
24590482
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河口 直正 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70224748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 吉之輔 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10362683)
松浦 成昭 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70190402)
森 誠司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90467506)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
TIMP-1およびTIMP-3をそれぞれ徐放するコラーゲンゲルをラット虚血性心筋症モデルに移植した。移植2, 4, 6, 8週後に心機能評価と組織学的評価を行った。TIMP-1,TIMP-3徐放ゲル移植群では徐放ゲルを移植しないコントロール群、PBS徐放ゲル移植群と比較し移植2週目から有意に心機能が改善し、その効果は移植8週目まで持続していた。TIMP-1,TIMP-3徐放ゲル移植群では移植4週目より梗塞領域において多数の平滑筋アクチン陽性の筋線維芽細胞の集積が認められ、移植6および8週目においては、移植4週目よりもさらに多くの筋線維芽細胞が観察された。これはゲルから徐放されたTIMPにより梗塞領域の線維芽細胞が筋線維芽細胞へと分化誘導されたことによると考えられる。コントロール群、PBS徐放ゲル移植群では移植後、梗塞領域におけるエラスチン線維の割合が低下し、コラーゲン線維に置換されていくのに対して、TIMP-3群では梗塞領域のコラーゲン線維に対するエラスチン線維の量が高く維持されていた。 以上の結果より、TIMP-1またはTIMP-3徐放ゲル移植によって有意かつ持続的な心機能改善効果が認められた。この効果は、ゲルより徐放されたTIMPがhost心筋の線維芽細胞を筋線芽細胞へ分化させることにより梗塞領域の筋肉細胞を増加させ、さらに弾性線維も増生させることにより、梗塞壁に弾性と収縮性が与えられたことによると考えられた。 重症心不全に対するTIMP徐放ゲルシート移植治療法は、心不全心の心機能改善効果を長期間維持できることが示唆され、重症心不全に対する治療の新しいアプローチとして期待される。
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