2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590486
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
福島 剛 宮崎大学, 医学部, 助教 (10452913)
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Keywords | 膠芽腫 / 浸潤 / 実験病理 / 癌 |
Research Abstract |
膠芽腫(Glioblastoma)は、極めて予後不良の悪性脳腫瘍であり、ブレークスルーが待望されている難治性癌である。本研究は膠芽腫の悪性形質の鍵となる機能遺伝子およびシグナル伝達を探索し、新規治療標的を見出すことを目的としている。これまで IGFBP-2 と CD24 の膠芽腫の悪性形質への関与を示してきたが、さらに、その機序と、そこに関わる新規機能遺伝子を探索している。また、これらの因子が Glioma stem cell/tumor initiating cell や抗癌剤感受性に関わっているかどうか、関わっているとすればその機序はいかなるものかを解析している。 これまでに、(1) 膠芽腫におけるABC トランスポーター遺伝子発現への影響と、抗癌剤感受性/耐性への影響。(2) IGFBP-2、CD24 の脳腫瘍以外の癌での発現。(3) IGFBP-2、CD24に関わるシグナル伝達などについて、アレイデータの解析を中心としたバイオインフォマティックス的解析、(4) Glioma stem cell/tumor initiating cell の取得手技、膠芽腫細胞における side population を検出する方法の確立。 (5) RelA が IGFBP-2 を上流で調節していることの証明としてのレポーターアッセイ、(6)エクソソームの採取濃縮、解析手技の確立(現在進行中)を行った。 脳腫瘍以外にも IGFBP-2、CD24 を強発現している癌があること、ある種の膠芽腫細胞株では ABCB1、ABCG2 の発現が CD24 の影響を受けること、RelA の抑制によって IGFBP-2 の発現シグナルが減弱すること、などが明らかになった。Glioma stem cell の取得、解析、エクソソームの解析ついては未だ方法論が確立できておらず、苦戦している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高度に糖鎖修飾された糖蛋白である CD24 を蛋白質レベルで正しく検出する良い抗体が未だに得られていないこと、glioma stem cell/tumor initiating cell を正しく評価できる系が確立できていないこと、エクソソームの採取濃縮、解析手技が確立できていないこと、当大学の耐震改修とそれに伴う当講座の移転のために実験ができない期間があったこと、のために遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
CD24 の下流に当たる因子、IGFBP-2、CD24 の上流に当たる因子を探索し、IGFBP-2、CD24に関わるシグナルを総括する。 (1) CD24 の下流で膠芽腫の悪性形質に関わっている因子の探索:cDNA マイクロアレイで渉猟された、CD24に連動して発現が変動する候補遺伝子が、実際にCD24の発現と連動しているかどうか、定量的real-time PCR 等で確認する。 (2) IGFBP-2 を上流で調節している因子の探索:IGFBP-2 の発現調節に影響を及ぼしている候補因子について、expression cloning 法を用いた網羅的解析を行う。すなわち、膠芽腫細胞のランダムアンチセンスレトロウイルスライブラリーを作製し、「IGFBP-2 のプロモーターをthymidine kinase の上流にサブクローニングしたコンストラクトを安定的に遺伝子導入した膠芽腫細胞」に感染させる。感染させた細胞にガンシクロビルを投与して、thymidine kinase 発現による死から免れた細胞をクローニングする。この細胞から DNA を抽出し、死から免れる原因となったと考えられるアンチセンスの配列を決定する。この配列の標的となる遺伝子が、IGFBP-2を正に制御する候補遺伝子と考えられる。 (3) IGFBP-2、CD24 の発現と抗癌剤耐性機序、glioma stem cell/tumor initiating cell の量的、質的変化、エキソソームの量的、質的変化の関係を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大学の耐震補強工事に伴う実験室移転のために実験計画が遅れ、当初予定していた実験を次年度に行うことになり、試薬の購入も次年度としたため。 次年度中に今年度に行うことのできなかった実験も含めて、当初の計画通りの実験を行う。
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Research Products
(8 results)