2014 Fiscal Year Annual Research Report
腎尿細管間質線維化における細胞分化転換に関する研究
Project/Area Number |
24590488
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
村垣 泰光 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40190904)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 腎尿細管間質線維化 / Klotho / ビタミンD / TGFβ/Smad3 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎不全の最終像である腎尿細管間質線維化(RTF)は、筋線維芽細胞の活性化による尿細管間組織への細胞外マトリックスの過剰な沈着とネフロンの機能不全がその主な病態である。間質に起こる線維化をKlothoの欠損に注目しRTFにおいてどのように影響するかを検索した。野生型マウス(WT)とヘテロ(HT)およびホモ(kl/kl)のKlothoミュータントマウスを用いて片側尿管結紮(UUO)を行い、腎臓のRTFの程度を検索した。腎尿細管上皮をWT, HT, kl/klマウスの腎臓からそれぞれ初代培養し、TGF-β処理の後、リン酸化Smad3および上皮間葉転換(EMT)マーカーの発現を検索した。また、ラット腎上皮細胞株NRK52Eを用いてFGF23、高濃度リンまたは活性型ビタミンDを作用させ、TGFβにより誘導されるEMTの影響を観察した。さらにビタミンD欠損食で飼育したkl/klマウスを用いて、UUOで誘導されるRTFの程度を比較した。その結果、kl/klマウスではUUOで誘導されるRTFの程度はWTおよびHTマウスより軽度で、TGFβ/Smad3活性も抑制されていた。ところが、腎尿細管上皮の初代培養では、kl/klマウス由来上皮でTGFβで誘導されるEMTおよびSmad3のリン酸化も抑制されなかった。そこでNRK52E細胞でTGFβにより誘導されるEMTは FGF23と高濃度リン処理では影響を受けなかったが、活性型ビタミンD処理において有意に抑制された。またビタミンD欠乏食で飼育したkl/klマウスでは、UUOで誘導されるRTFの程度およびTGFβ/Smad3活性もHTマウスと同レベルにまで亢進したことから、kl/klマウスにおいては、活性化ビタミンDの増加がTGFβ/Smad3シグナルを強力に抑制してRTFを軽減し、腎線維化から腎を保護することを示した。
|