2014 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス関連疾患における神経‐マスト細胞相互作用の増強:接着分子CADM1の関与
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24590492
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
伊藤 彰彦 近畿大学, 医学部, 教授 (80273647)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 接着分子 / 接着力 / 神経免疫学 / ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞培養液中にフェムト秒レーザーを集光させると集光点に衝撃力が発生し、その衝撃力は同心円状に伝搬する(数100 micrometerの範囲内で)。本レーザーを接着している2細胞の近傍に集光して両者を乖離させることにより、細胞間接着力を力積[力(Newton)×時間(sec)]単位で見積ることが出来る。本技術を用いて、平成26年度は「平成25年度以降の計画」の基づき、神経‐マスト細胞間相互作用に関して主に力学的側面の解析を行った。マウス新生児より上頸神経節(交感神経)及び後根神経節(知覚神経)を採取し、グリア馴化培地中で培養し、神経突起のネットワークを樹立した。マウス骨髄由来培養マスト細胞、或いはCADM1を外来性に発現するIC-2マスと細胞株を神経突起ネットワークの上から播種し、マスト細胞を神経突起に接着させた。フェムト秒レーザー照射により、1培養系に付き約200個のマスト細胞の接着力を共生培養開始後6時間、12時間、24時間、36時間の時点で測定した。接着力のヒストグラム(度数分布)は6時間の時点ではガウシアン分布に従う単峰性の曲線を描いたが、12時間ではもう一つの山がより接着力の強い側に出現し始め、24時間の時点で完全な2峰性となった。即ち、神経-マスト細胞間の接着は平衡状態に達すると、弱い接着と強い接着の2つの様式があることが判明した。神経突起上でのCADM1の発現を免疫染色にて調べたところ、強い接着を生じる部位は、抗CADM1抗体による染色が非常に濃かった。以上の結果より、接着強度の違いが生じる背景にはCADM1分子の神経突起上での集積が重要な役割を果たしていると考えられた。 本年度の研究成果は現在投稿準備中である。また、本研究課題の全体を通じての研究成果は本年度、学術集会にて発表した(萩山満,伊藤彰彦,他. マスト細胞における接着分子CADM1の発現上昇:アトピー性皮膚炎のストレス感受性への関与. 第103回日本病理学会総会,広島,2014,4.)。
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Research Products
(15 results)