2012 Fiscal Year Research-status Report
がんの増悪化におけるLPA受容体機能の解析と臨床応用にむけた標的分子の探究
Project/Area Number |
24590493
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
辻内 俊文 近畿大学, 理工学部, 教授 (10254492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴木 寛弥 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40336863)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | LPA / LPA受容体 / 細胞運動能 / 浸潤・転移 / 抗がん剤耐性 / がん培養細胞 |
Research Abstract |
本年度は、LPA受容体発現改変細胞ならびに抗がん剤抵抗性細胞の作製を中心に行った。用いたがん細胞は、肺がん・膵がん・骨肉腫細胞などで、それぞれの培養細胞より抽出したRNAよりcDNAを合成しRT-PCR法によりLPA受容体遺伝子発現パターンをプロファイルした。LPA遺伝子発現の見られる培養細胞に対してはshRNAを遺伝子導入し、それぞれの細胞に応じたLPA受容体ノックダウン細胞を樹立した。また、LPAシグナル伝達経路と他の細胞内分子との相互作用を検索するために、K-ras遺伝子の点突然変異を有する肺がん・膵がん細胞に対してshRNAを遺伝子導入しK-rasノックダウン細胞を樹立した。一方、抗がん剤抵抗性細胞の作製には、肺がん・膵がん・大腸がん・骨肉腫・乳がん細胞にシスプラチン、ドキソルビシン、タモキシフェンを低濃度で細胞に長期間連続処理し、徐々に濃度を高めながら約8か月継代培養を進め、高濃度処理でも培養可能な株を得ている。 本年度で作成したこれらの細胞を用い、次年度からはLPA受容体を介するシグナルが細胞増殖、細胞運動・浸潤能、転移能、造腫瘍性、細胞外基質分解能などに及ぼす影響を詳細に検索し、がんの悪性能増強におけるLPAシグナル伝達経路の生物学的意義を明らかにする。また、抗がん剤耐性能獲得にLPAシグナル伝達経路がどのように関与するかについても抵抗性細胞を用いて細胞機能解析を行い明らかにする。 本年度に樹立したLPA受容体発現改変細胞ならびに抗がん剤抵抗性細胞は、多彩な種類からなり、細胞・臓器特異的なLPAシグナル経路の関与のみならず様々な細胞内分子との相互作用についても解析しうる点で重要な成果であったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度は、がん細胞におけるLPA受容体を介するLPAシグナル伝達経路の役割を明らかにする目的で、LPA受容体発現改変細胞と抗がん剤抵抗性細胞の作製を精力的に行った。LPA受容体はがん細胞によって発現パターンが異なることから、それぞれの細胞に応じたLPA受容体発現改変細胞を樹立する必要があった。また抗がん剤抵抗性についても細胞により抗がん剤の処理濃度が異なる。これらの生物学的特性から種類の豊富な細胞株を樹立することを目指し、現時点においておおむね順調な細胞株数を得る事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に作成したLPA受容体発現改変細胞と抗がん剤抵抗性細胞を用いて、LPA受容体の細胞運動能、浸潤・転移能、造腫瘍性、細胞外基質分解能に対する機能ならびに抗がん剤耐性能獲得における役割を,cell proliferation assay, cell motility assay,gelatin zymographyなどの手法を用いて明らかにする。さらにK-rasなどLPAシグナル伝達経路以外の細胞内分子との相互作用についても同時に検索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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