2014 Fiscal Year Annual Research Report
がんの増悪化におけるLPA受容体機能の解析と臨床応用にむけた標的分子の探究
Project/Area Number |
24590493
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
辻内 俊文 近畿大学, 理工学部, 教授 (10254492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴木 寛弥 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40336863)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リゾフォスファチジン酸 / LPA受容体 / がん浸潤 / 転移 / 抗がん剤抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究において、リゾフォスファチジン酸(LPA)受容体が、がんの浸潤・転移ならびに抗がん剤抵抗性において様々な細胞機能を有することを明らかにしてきた。今年度は、それら6種類のLPA受容体のうち、がんの増悪化における生物学的機能がいまだ十分解明されていないLPA4、LPA5、LPA6に着目し、がん細胞の細胞運動・浸潤・造腫瘍性・血管新生における生物学的役割を検索した。細胞機能解析には、各種培養細胞に標的遺伝子に対するshRNAを遺伝子導入して作成したLPA受容体ノックダウン細胞を用いた。細胞運動・浸潤能解析にはCell Culture Insertを用いてフィルター外側底面に移動した細胞数をギムザ染色後に計数した。造腫瘍性解析にはアガロース含有培地を用いてコロニー形成数・大きさを計測した。血管新生に対する機能解析には、LPA受容体ノックダウン細胞の培養上清を用いて血管内皮細胞の運動能およびtube formation形成能を計測した。その結果、膵がん細胞では、LPA4、LPA5は細胞運動・浸潤能・造腫瘍性・血管新生にいずれも抑制的に作用するのに対し、LPA6は促進的に作用することが判明した。さらに、線維肉腫細胞から作成したLPA4、LPA5、LPA6受容体ノックダウン細胞を用いた細胞機能解析においても、肉腫細胞の増悪化にLPA4、LPA5は抑制的に、LPA6は促進的に作用することがわかった。本研究結果より、LPA1、LPA2、LPA3と同様にLPA4、LPA5、LPA6においてもがん細胞の細胞機能にそれぞれ異なった機能を演じることから、LPA受容体を介するLPAシグナル伝達経路ががん細胞特異的な新規分子標的療法の候補分子となりうる可能性が示された。
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Research Products
(11 results)