2013 Fiscal Year Research-status Report
カハールの介在細胞による消化管蠕動運動の制御機構の解析
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24590494
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
礒崎 耕次 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00425117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 誠一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50218856)
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Keywords | カハールの介在細胞 / GISTs / c-kit遺伝子 |
Research Abstract |
作成したカハールの介在細胞(ICC)および平滑筋細胞の cDNA ライブラリーを用いて、差分化法を用いて、ICCと平滑筋細胞間の遺伝子の発現の違いを検討した。多数の遺伝子発現の違いがみられた。その中で、ICCに特異的に発現するサイトカイン、サイトカイン受容体、神経伝達物質、神経伝達物質受容体、接着分子を選び出した。 また、ICCのtumor counterpart である Gastrointestinal stromal tumors(GISTs) に関する研究も行った。GISTs の腫瘍発生機構に、c-kit遺伝子の機能獲得性変異が重要な役割をしていることを報告してきたが、我々はc-kit遺伝子産物(KITレセプター)をコードするc-kit遺伝子の Exon9 に新しいタイプの変異 (アミノ酸501番Ser,502番Alaの重複変異=KIT-Dup-Ser501Ala502) を発見した。KIT-Dup-Ser501Ala502 は GISTs でみられるほかの変異と同様、KITレセプターの恒常的な活性化を引き起こし、GISTs の腫瘍発生に関与していると考えられた。さらに、KIT-Dup-Ser501Ala502 と以前、発見されたアミノ酸502番Ala, 503番Tyr の重複変異=KIT-Dup-Ala502Tyr503 変異とのKITレセプター阻害剤(imatinib,nilotinib) に対する反応の違いを調べた結果、KIT-Dup-Ser501Ala502 は KIT-Dup-Ala502Tyr503 の場合と比べて、低い濃度の imatinib,nilotinib により活性化が阻害されることがわかった。以上のことは、分子標的治療を行う際、Ser501Ala502を持つ GISTs はKIT-Dup-Ala502Tyr503 を持つ GISTs に比べ imatinib,nilotinib がより有効であることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、差分化法を用いてcDNAライブラリーの解析を終了しカハールの介在細胞に発現する分子を選び出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
差分化法によりICCに発現していると考えられた分子が実際にICCに発現しているかどうか、セルソーティング法を用いて採集したICCを用い、Northern blot 法および Western blot 法により検討する。ICCに発現する神経伝達物質およびサイトカイン受容体のリガンドを正常マウスのICCに反応させ、ICCの電位変化を patch clump 法を用いて調べる。ICCには KIT が発現していることから、KITリガンドである stem cell factor がICCの機能に影響を及ぼすのかどうか、同時に検討する。ICCに発現する神経伝達物質およびサイトカインを正常マウスの平滑筋細胞に反応させ、Patch clump 法により細胞電位変化を調べる。また、ICC 欠損マウス(W/Wvマウス) でみられる消化管異常蠕動運動がICCに発現する神経伝達物質およびサイトカインの付加によりどのように変化するのかforce displacement transducer を用いて調べる。ICC に発現するサイトカイン受容体、接着分子の knock out マウスを作製し、ICC の分化、増殖にどのような変化がみられるかを調べる。ICCの分化、増殖に重要な働きをしているサイトカイン受容体、接着分子が GIST に発現しているかどうか、Northern blot および Western blot 法により検討する。GIST に発現していることが確認されたサイトカイン受容体、接着分子について、コードする遺伝子に変異がみられるかどうかを調べ、GIST の腫瘍発生機構に関与してるかどうかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定よりも少し試薬の消費が少なかったために残額が生じた。 来年度の物品費に組み入れて使用したい。
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Research Products
(1 results)