2012 Fiscal Year Research-status Report
微小乳頭状および簇出型浸潤様式の機序に関する包括的研究
Project/Area Number |
24590495
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
鍋島 一樹 福岡大学, 医学部, 教授 (40189189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 佳織 福岡大学, 医学部, 助教 (40572433)
青木 光希子 福岡大学, 医学部, 助教 (80469379)
濱崎 慎 福岡大学, 医学部, 講師 (90412600)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 簇出型浸潤 / miRNA / 肺癌 / Micropapillary pattern / microdissection |
Research Abstract |
この研究の目的は癌組織標本の簇出型浸潤部と非簇出型浸潤部より、microdissection (MD)にてRNAを抽出し、miRNA arrayを施行して簇出型浸潤関連miRNAを解析することである。24年度は大きく2つの検討を行った。1つは肺癌における簇出型浸潤例である微小乳頭状構造(MPP)を示す腺癌組織を用いて、MDからRNA抽出およびmiRNA arrayまでの過程の条件設定とその施行。もう一つは、肺腺癌のIASLC新分類が提唱され、微小乳頭状優位型が新たに腺癌分類に加わったが、MPPに関しては本当にその亜型のみの検討でよいのか、従来のごとく腫瘍全体の10%以上を占める場合には解析に含めるべきかの再確認を行った。 第1の課題については、専用のHE染色を用いる方が病変部位の特定が容易となった。miRNA arrayの施行には130 ng/μlが必要だが、当初MD 1capより得られたRNA量が少量であったため、1capあたりのMD時間を1時間以内と限定し、すぐにRNA抽出することによって、収量を20 ng/μlまで増やすことができた。現在、1cap1時間のMDを4回施行し、計4capより当日中にRNAを抽出し、2回分を一緒にエタ沈で濃縮し、miRNA arrayに用いている。現在、肺腺癌MPP陽性/陰性症例のmiRNA arrayを施行、解析中である。 第2の課題については、肺腺癌436例について、MPPの有無と予後の関係について解析を行った。その結果、MPP陰性例と比較して、MPP優位型症例および腫瘍全体の≧10%にMPPが認められるMPP陽性症例では、5生率はOS、DFS共に有意に低下していたが、後二者間での有意差はなかった。従ってMPPは優位型のみならず、≧10%に認められるものは解析対象とするべきだと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載のとおり、MDからRNA抽出およびmiRNA arrayまでの過程の条件設定と、腺癌に関する新分類の提唱に伴って微小乳頭状構造(MPP)を≧10%に認める腫瘍の臨床病理学的意義の再確認が必要となったため、その為の時間が必要であった。しかし、共に前述のとおり解決した。特に臨床病理学的意義の再確認ができた意味は大きく、これまでの予定通りにMPP陽性腺癌に関連する簇出型浸潤機構の解明の重要性が支持された。方法に関する条件設定にも時間を要したが、十分な検討ができ、その結果に基づいてすでにRNAの抽出からmiRNA arrayまでの過程が順調に進行している。今後は当初の計画通りに進行する予定であるが、その基盤が十分にできた初年度であったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初より平成25年度以降の計画として、24年度のmiRNAの解析と選定が完成していない場合には、それを継続しながら、in vitro実験系での準備、臨床病理学的事項との関連に関する統計学的に解析に取り組むと、予備的時間を予定していたので、ほぼその計画に従うことになる。前述のごとく、miRNA arrayにいたる条件設定が確立し、またこの研究の臨床病理学的意義も再確認できたので、当初の計画通り推し進めていく。継続して簇出型浸潤部と非簇出型浸潤部よりRNAを抽出し、miRNA arrayを施行し、この解析から簇出型浸潤関連miRNAをスクリーニングし、選定する。さらにReal-time RT-PCR法による選択されたmiRNAの発現確認を経て、同miRNAの抑制対象分子をdata bankから拾い上げて、一方では実際の腫瘍組織での発現の確認を、他方ではin vitro 3次元培養系を用いて浸潤への関与を確認する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、microdissectionによるRNAの抽出とmiRNA array実施のための試薬類の購入(miRNA array kit; FlashTag Biotin HSR RNA labeling kit (Affymetrix), GeneChip miRNA 3.0 Array (Affymetrix)は既に購入済み)、FISH関連試薬の購入(特にlocked RNA probeを用いたFISH法関連試薬)、選定されたmiRNA の実際の組織における発現確認のためのreal time RT-PCR法(Mir-X™ miRNA qRT-PCR SYBR® Kit使用)関連試薬の購入が主となる。
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Research Products
(1 results)