2012 Fiscal Year Research-status Report
多能性幹細胞からの骨格筋幹・前駆細胞誘導法の確立と移植による有効性・安全性の検証
Project/Area Number |
24590497
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
鈴木 友子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部, 室長 (00342931)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 伸一 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 遺伝子疾患治療研究部, 部長 (90171644)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 幹細胞 / 筋ジストロフィー / 人工多能性幹細胞 / 骨格筋 / 再生医学 |
Research Abstract |
ヒトiPS細胞を筋ジストロフィーの幹細胞移植治療へ応用するための基盤的研究として、1.低分子化合物を用いたマウスES細胞、iPS細胞からの骨格筋分化誘導実験を行った。胚様体形成過程で沿軸中胚葉系の細胞 (PDGFRalpha 陽性Flk-1陰性細胞)の割合を増加させる低分子化合物をそれぞれハンギングドロップ法で作成した胚様体に添加し、2日間培養後、マトリゲルコートしたdish上で培養し、2週間後、MyoD、ミオシン重鎖(MyHC)に対する染色で骨格筋分化を評価した。レチノイン酸に中程度の骨格筋誘導活性が認められたが、細胞株間で骨格筋誘導効率に大きく差が認められた。 2.iPS細胞から誘導される筋前駆細胞のヒト骨格筋への移植治療を最終目標として、筋前駆細胞の純化方法を検討した。ヒト筋芽細胞とヒト線維芽細胞の表面マーカーを300種類以上の細胞膜表面の抗原に対する抗体のライブラリーを用いてFACSにて探索した。ヒト筋芽細胞とヒト線維芽細胞は多くの抗原を共通して発現していたが、筋芽細胞に反応し、線維芽細胞に反応しない抗体を2種類同定した(うち一つはNCAM)。ヒト筋芽細胞の細胞表面にはマウスの筋芽細胞とは異なる抗原が発現していた。分化段階に応じて発現量が変化する抗原も明らかにした(未発表)。3.エストロゲンレセプターのホルモン結合ドメインと結合させたMyoD及びPax7遺伝子 (タモキシフェン(Tx)で活性化される)をIRESで赤色蛍光タンパク質DsRED遺伝子とつなぎ、EF1alpha プロモーターの下流につないだプラスミドをマウスES細胞にトランスフェクトして、G418薬剤耐性安定細胞株を数株ずつ得たがTxによる筋分化促進は確認できなかった。ES細胞の分化に伴いEF1alpha プロモーター活性が低下することが原因と考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究室が文部科学省 再生医療の実現化プロジェクトに参加し、より臨床応用に近い研究を推進する方針になったため、マウスiPS細胞を用いた研究からヒトiPS細胞を用いる系に変更したことにより、研究の進捗が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウスES/iPS細胞の系からヒトiPS細胞の系へ変更して、筋分化誘導研究を行う。 1.胚様体形成法では、骨格筋に誘導される細胞は全体の10%に満たない。そこで高率にMyoD陽性細胞が誘導されると報告されている高濃度のEGF, bFGFを用いたsphere形成法を試す 2.レンチウイルスベクターを利用したドキシサイクリン誘導型PAX3(iPAX3), iPAX7, iMYODのシステムを並行して検討する。 3.誘導された幹細胞の純化方法、培養条件に関して予備的な検討を加える。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、ヒトiPS細胞培養関係の試薬と、細胞移植用のマウスの購入・維持費に充てる。
|
Research Products
(5 results)