2012 Fiscal Year Research-status Report
トリパノソーマ感染宿主細胞におけるオートファジーとアポトーシス制御解析
Project/Area Number |
24590502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
嶋田 淳子 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (20211964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑生 俊光 岡山大学, 農学部, 准教授 (60344917)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エルサルバドル |
Research Abstract |
Trypanosoma cruzi感染細胞でオートファジーを誘導するとオートファゴソームが増加することを見出した。しかし感染細胞内で原虫が増殖していることから、宿主のオートファジーが正常に誘導され機能しているかどうかは不明である。そこで、ヒトのオートファジー関連タンパク質Atg3と相同性のある原虫由来TcAtg3を用いて、T. cruziが宿主オートファジーにどのように関係しているかを解析した。ヒト由来培養細胞HT1080にTcAtg3遺伝子を導入し、mycタグ付きタンパク質を強制発現させたHT/TcAtg3細胞を樹立した。TcAtg3と相互作用するタンパク質を探索するため、この細胞にT. cruziを感染させ、UV photocrosslinking法によりTcAtg3と共有結合させた。その後、細胞を回収してライセートを作製し、抗myc抗体を用いてpull downアッセイを行い、ウエスタンブロットで共有結合したタンパク質を検出した。HT/TcAtg3細胞では29 kDa付近にTcAtg3のバンドが確認され、目的とする発現細胞が樹立できたと考えられた。この細胞にT. cruziを感染させたところ、29 kDaのバンドに加え、37 kDa付近にもバンドが観察された。このバンドは非感染細胞では確認できなかった。これより、TcAtg3に約8 kDaのタンパク質が結合している可能性が示唆された。現在TcAtg3に結合したタンパク質の同定を行うため、LC/MS/MS法による解析を行っている。また一方で、感染細胞では、オートファゴソーム膜は誘導されるが、細胞内リソソームと融合する過程が進んでいない可能性が考えられた。そこで、オートリソソームのマーカータンパク質であるシンタキシン17を用いて細胞をケイ光染色したところ、T. cruzi感染細胞では非感染細胞に比べ、ケイ光強度が低かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トリパノソーマ感染により、宿主細胞のオートファジーが抑制されるという仮説をたて実験を行った結果、予想どおりオートファジーが抑制されていることが証明できた。また、原虫のTcAtg3を発現させたHT/TcAtg3細胞の樹立に成功した。TcAtg3と相互作用する因子を同定するため、免疫沈降法を用いたが目的と思われるタンパク質が得られなかった。そこで、相互作用する因子をTcAtg3と共有結合することができるUV Photocrosslinkinng法を用いることにした。実験条件設定に時間がとられたが、ようやくこの方法を確立することができた。この方法を用いて発現させたmycタグ付きTcAtg3を抗myc抗体によりpulldownアッセイを行い、共有結合していると思われるタンパク質を見出した。量的に少ないため未だタンパク質の同定には至っていないが、研究はおおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
原虫Atg3強制発現細胞の樹立に成功したので、現在UV photocrosslinking法で相互作用するタンパク質の同定を試みている。未だ同定できていないため、引き続き実験を行う。同定できない原因として、相互作用するタンパク質量が少ない可能性がある。SDS/PAGEを行ったゲルを銀染色すると複数のバンドが確認できるが、LC/MS/MS解析ではピークが弱く検出できていない。そこで、細胞数を増やして実験を行う。また、UV photocrosslinking法では光反応性アミノ酸を含んだ培地で培養するため、LC/MS/MS解析の際、アミノ酸の分子量が通常と異なっており、mascotで候補分子を同定することができない。そのため、解析の際にmascotのアミノ酸の分子量を変換するなどの工夫が必要となる。本研究では原虫のAtg3が細胞に感染した際、宿主細胞質に原虫から遊離されることが大前提となっている。現在、原虫Atg3ni対する抗体がないためその確認ができていない。今後、原虫Atg3に対する抗体を作製することも検討したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)