2014 Fiscal Year Annual Research Report
蚊中腸内マラリア原虫の虫体表面に発現する分子の機能解析
Project/Area Number |
24590506
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
橘 真由美 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 助教 (00301325)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 寄生虫 / マラリア / 雄性生殖体 / 伝搬阻止 / 鞭毛放出 |
Outline of Annual Research Achievements |
マラリア原虫は、吸血によって蚊の中腸内に取り込まれ、極めて短時間のうちに生殖母体から生殖体へと分化し、受精を行う。この劇的な形質転換を伴う有性生殖の分子機構はほとんど解明されていない。本研究では、マウスマラリアであるPlasmodium yoelii(Py17X株)の蚊中腸内ステージに発現している未知の6分子に着目し、新たに作製したウサギ特異抗体を用いて詳細な性状解析を行うと共に、各遺伝子欠損原虫の表現型解析を行うことで蚊中腸内ステージにおける機能解析を行った。 その中の1つであるPyGM75は、雄性生殖母体及び生殖体の細胞小器官(Osmiophilic body)に特異的に発現しており、鞭毛放出(Exflagellation)時に鞭毛と共に外部に放出された後、細胞表面に局在することを明らかにした。更に、pygm75遺伝子欠損原虫を蚊に感染させると、蚊の中腸におけるステージであるオーシストの形成が著しく低下し、鞭毛放出する原虫数が激減しているという興味深い結果が得られた。このことから、PyGM75は雄性生殖体の鞭毛放出の際に機能していることが示唆された。 更に、PyGM75は原虫表面に発現されており、蚊の体内で原虫発育を阻止する伝搬阻止ワクチンの候補抗原となり得ることから、ウサギ抗血清を用いた伝搬阻止活性の検討も行った。この抗血清を、原虫と共に人工吸血装置を用いて蚊に摂取させ、蚊の中腸のオーシスト形成を確認したところ、抗血清を加えた群ではオーシスト数が劇的に減少した。また、PyGM75組換えタンパク質を免疫したマウスにPy17X株を感染させた後、蚊に吸血させてオーシスト形成を比較したところ、免疫マウスから吸血した蚊のオーシスト形成はコントロール群に比べ著しく低下していた。以上のことから、PyGM75は新規伝搬阻止ワクチンの候補抗原であり、ヒトマラリアへの応用が期待される。
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