2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590514
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
中野 由美子 (斉藤 由美子) 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (30321764)
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Keywords | 寄生性原虫 / 膜輸送 / 貪食 |
Research Abstract |
赤痢アメーバが宿主細胞や細菌を貪食する際には、異なる細胞表面レセプターが貪食の対象を認識することが必要である。しかし、細胞表面レセプターの細胞膜への輸送調節や貪食対象物の認識機構は殆ど解明されていない。申請者は、ファゴソームに局在する14種の膜輸送因子Rabを手がかりにし、それらの発現抑制株を作製したところ、特定の餌に対して貪食阻害を示すRabがあることを明らかにした。すなわち、Rab8A発現抑制株では、複数の表面タンパク質がRab8A発現抑制株では細胞膜に提示されず、赤血球や大腸菌の貪食阻害の原因となっていることが分かった。Rab8Aは哺乳動物細胞や酵母では、トランスゴルジネットワーク(TGN)に局在し、TGNから細胞表面へのレセプターの輸送に関与していることが報告されている。しかし赤痢アメーバでは、Rab8AはTGNには局在せず、小胞体近傍に局在することが分かった。マクロファージでは貪食初期に小胞体が細胞膜に融合し、貪食胞の膜の供給を行っていることが報告されている。赤痢アメーバでは、小胞体からの細胞表面レセプターの選別輸送にRab8Aが機能している可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
赤痢アメーバが宿主細胞や細菌を貪食する際には、異なる細胞表面レセプターが貪食の対象を認識することが必要である。しかし、細胞表面レセプターの細胞膜への輸送調節や貪食対象物の認識機構は殆ど解明されていない。申請者は、ファゴソームに局在する14種の膜輸送因子Rabを手がかりにし、それらの発現抑制株を作製したところ、特定の餌に対して貪食阻害を示すRabがあることを明らかにした。すなわち、Rab8A発現抑制株では、複数の表面タンパク質がRab8A発現抑制株では細胞膜に提示されず、赤血球や大腸菌の貪食阻害の原因となっていることが分かった。Rab8Aは哺乳動物細胞や酵母では、トランスゴルジネットワーク(TGN)に局在し、TGNから細胞表面へのレセプターの輸送に関与していることが報告されている。しかし赤痢アメーバでは、Rab8AはTGNには局在せず、小胞体近傍に局在することが分かった。マクロファージでは貪食初期に小胞体が細胞膜に融合し、貪食胞の膜の供給を行っていることが報告されている。赤痢アメーバでは、小胞体からの細胞表面レセプターの選別輸送にRab8Aが機能している可能性を示している。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度はRab8Aの細胞内局在を勢力的に推進させたため、最終年度はRab8Aが輸送する未同定な細胞表面レセプターを同定するとともに、Rab8Aの機能特異性を明らかにするために結合タンパク質の同定を試みる。まず、Rab8A発現抑制株で細胞表面への提示が低下した表面タンパク質の同定を試みるために、細胞表面をビオチン化し、細胞膜を分画することにより、Rab8A発現抑制株で提示が低下している表面タンパク質を質量分析によって同定する。同定した表面タンパク質にタグを付加した形質転換株を作製し、質量解析で同定したタンパク質が細胞膜に輸送されるか、またその発現抑制株を作製すると貪食効率が低下するのかを確認する。結合タンパク質の同定では、Rab8Aのアフィニティカラムを作製し、GTP型またはGDP型のRab8A特異的に溶出されるタンパク質を単離する。他種生物ではRab8Aの結合タンパク質として複数のタンパク質の存在が報告されているが、そのホモログは赤痢アメーバゲノムには存在せず、赤痢アメーバ特異的な結合タンパク質が単離できると期待している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は参加を予定していた国際アメーバ会議が開催されなかったため、海外旅費の余剰金が生じた。 赤痢アメーバの形質転換株の培養維持に労力がかかるため、研究支援者を週2日、1 人雇用するための謝金(7800 円/日 x 8 日 x 12 ヶ月 = 80 万)を計上する。消耗品として培養用試薬、生化学試薬に40万円。国内旅費(日本寄生虫学会での発表)10万、国際アメーバ症会議での発表30万、研究成果投稿料20万。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] The cell surface proteome of Entamoeba histolytica2014
Author(s)
Laura Biller, Jenny Matthiesen, Vera Kuhne, Hannelore Lotter, Ghassan Handal, Tomoyoshi Nozaki, Yumiko Saito-Nakano, Michael Schumann, Thomas Roeder, Egbert Tannich, Eberhard Krause, and Iris Bruchhaus
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Journal Title
Molecular and Cellular Proteomics
Volume: 13
Pages: 132-144
DOI
Peer Reviewed
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