• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2013 Fiscal Year Research-status Report

マラリア原虫転写調節領域に特異的に結合する原虫独自の因子の作用機序

Research Project

Project/Area Number 24590515
Research Institution独立行政法人国立国際医療研究センター

Principal Investigator

安田 加奈子 (駒木 加奈子)  独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (50415551)

Keywordsマラリア / 転写制御 / 転写因子 / 細胞周期
Research Abstract

マラリア原虫の転写制御機構の分子機構は全くといって良いほど解明されていない。申請者はマラリア原虫の一般的なhouse keeping geneの発現制御のモデルケースとして、prx遺伝子の赤血球内ステージにおける転写制御の分子機構について詳細な解析をおこない、時期特異的に働くcis-elementおよびこれに特異的に結合する核内因子QF122(以下、この分子をprx regulatory element binding protein: PREBPとする)を同定した。本研究ではPREBPの作用機序の詳細な解析によって原虫転写制御の独自性を解明することを目的とする。
今年度はPREBPに対する特異的抗体を用いたクロマチン免疫沈降(ChIP)をおこない、原虫の核内の染色体上でPREBPがprx遺伝子のcis-elementと結合していることを証明した。さらに、ChIPによって得られたDNAを次世代シーケンサーによって網羅的に解析することによって、PPEBPによって制御される、prx以外の遺伝子の候補をいくつか見出した。PREBPタンパクの構造上の特徴として、4つのK homology (KH) domainを持つことが挙げられるが、N末側からこれらのドメインを順に欠損させたPREBP変異体の原虫細胞内での転写活性化能を解析したところ、4つのKH domainを全て欠損させると転写活性化能が約80%減弱するが、N末側から2つのKH domainのみを欠損させたものでは、wild typeのPREBPと比較して殆ど転写活性化能に変化が無いことがわかった。これらの結果から、PREBPの転写活性化能にはC末側の2つのKH domainが重要であることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度の最大の目標は、抗PREBP抗体を用いたクロマチン免疫沈降(ChIP)をおこない、原虫細胞内におけるprxのcis-elementとPREBPの特異的結合を検証することであったが、この目標は達成することができた。さらにChIPによって得られたDNAを次世代シークエンサーによって網羅的に解析し(ChIP-Seq)、PREBPが結合する遺伝子cis-element(prx以外)の候補をいくつか得ることができた。また、PREBPの転写活性化能に必要なドメインを絞り込むことが出来た。
ChIP-Seqによって得られた候補原虫遺伝子が実際にPREBPによるコントロールを受けているのかについての確認、PREBPの働きをコントロールする分子修飾の解明、さらにPREBPの結晶化の条件の探索については次年度以降の課題となるが、研究全体としておおむね順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

・ChIP-Seqによって得られたPREBPによる制御のターゲット候補遺伝子が、PREBPによって転写が促進されるのか、原虫細胞を用いたルシフェラーゼアッセイによって確認する。
・これまでに確立できなかったPREBPの過剰発現株をProteoTuner Shield システム(Clontech社)を利用することによって樹立する。これは、PREBPに不安定化ドメイン(DD)を融合し、原虫に過剰発現させるものである。過剰発現させたPREBP-DDは原虫のプロテアソーム系によって直ちに分解され、原虫の表現型には影響を与えないと予測される。この原虫の培養に膜透過性の低分子リガンドShield1を添加すると、Shield1はDDに結合し、PREBP-DDをプロテアソーム分解から保護する。この系によって、原虫におけるPREBPの過剰発現のオン・オフを特異的に制御できると期待される。この系によってPREBPの過剰発現時におけるprx遺伝子の発現の変化を解析し、PREBPがどの様にprx遺伝子の発現に寄与しているのか明らかにする。さらにPREBPがprxの他にどのような遺伝子の調節をおこなっているのかをゲノムワイドに探索する為に、PREBPの過剰発現時の赤血球内寄生期各ステージにおけるトランスクリプトーム解析をおこなう。
・PREBPが原虫細胞内で作用するために、どのような修飾を受けているのかを明らかにするために原虫核抽出物とPREBPの抗体を用いた免疫沈降をおこなう。沈降産物をリン酸化、ユビキチン化、アセチル化等の各種翻訳後修飾を検出する抗体を用いたウエスタンブロットによって解析し、これらの修飾の有無を検出する。
・PREBPの転写活性化能に必要なドメインをさらに絞り込んで決定し、決定された必要なドメインの結晶化の条件を検討する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2014 2013 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) Remarks (2 results)

  • [Journal Article] Identification of a Novel and Unique Transcription Factor in the Intraerythrocytic Stage of Plasmodium falciparum2013

    • Author(s)
      Kanako Komaki-Yasuda, Mitsuru Okuwaki, Kyosuke Nagata, Shin-ichiro Kawazu, Shigeyuki Kano
    • Journal Title

      PLOS ONE

      Volume: 8 Pages: e74701

    • DOI

      DOI: 10.1371/journal.pone.0074701

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 熱帯熱マラリア原虫の新規転写因子PREBPの性状2014

    • Author(s)
      駒木-安田加奈子、奥脇暢、永田恭介、河津信一郎、狩野繁之
    • Organizer
      第83回日本寄生虫学会大会
    • Place of Presentation
      愛媛大学
    • Year and Date
      20140327-20140328
  • [Remarks] 実験室から「マラリア学」の魅力について考える

    • URL

      http://www.rincgm.jp/education/youth.php

  • [Remarks] 国立国際医療研究センター研究所 熱帯医学・マラリア研究部

    • URL

      http://www.rincgm.jp/individual/lab01/

URL: 

Published: 2015-05-28   Modified: 2015-06-16  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi