2014 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫転写調節領域に特異的に結合する原虫独自の因子の作用機序
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24590515
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
安田 加奈子(駒木加奈子) 独立行政法人国立国際医療研究センター, 熱帯医学・マラリア研究部, 室長 (50415551)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マラリア原虫 / 転写制御 / 転写因子 / DNA結合ドメイン / 細胞周期 / ChIP-Seq |
Outline of Annual Research Achievements |
マラリア原虫の転写制御機構の分子機構は全くといって良いほど解明されていない。申請者はモデルケースとして熱帯熱マラリア原虫prx遺伝子の赤血球内ステージにおける転写制御の分子機構を解析し、時期特異的に働くエンハンサー及びこれに特異的に結合する核内因子(prx regulatory element binding protein: PREBPとする)を同定した。本研究ではPREBPの作用機序の詳細な解析によって原虫転写制御の独自性を解明することを目的とする。 研究期間内において、PREBPが特異的エンハンサーに作用して原虫遺伝子の発現を亢進することをルシフェラーゼアッセイによって証明した。抗PREBP抗体を用いたクロマチン免疫沈降(ChIP)をおこない、原虫の核内の染色体上でPREBPがprx遺伝子のエンハンサーと結合することを証明した。更にChIP-Seqによる網羅的解析によって、PPEBPによって制御されるprx以外の遺伝子の候補をいくつか見出した。PREBPの細胞内における機能解析を目的にPREBPの過剰発現原虫作成を試みたが樹立できていなかった。 そこで最終年度である今年度はClontech社のProteoTuner Shield システムを用いてPREBPの一過性過剰発現原虫を作成した。この系の原虫培養中に低分子リガンドShield1を添加してPREBPの過剰発現を誘導した結果、細胞周期の延長、原虫増殖速度抑制が観察された。またPREBPは構造上の特徴として、4つのK homology (KH) domainを持つ。これらのdomainを欠損させたPREBP変異体の原虫細胞内での転写活性化能を解析したところ、PREBPの転写活性化能にはC末側から1つ目のKH domainのみが重要であることが示唆された。この部分は典型的なKH domainとのホモロジーが低く、原虫における新規DNA結合domainである可能性がある。今後この部分の構造学的解析により、原虫転写因子が極端にAT含量の高いプロモーター領域から特異的にエンハンサーを認識する独自の機構が解明される可能性がある。
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