2013 Fiscal Year Annual Research Report
外来遺伝子によるMRSAの病原性調節機構に関する研究
Project/Area Number |
24590519
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
垣内 力 東京大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (60420238)
|
Keywords | MRSA / psm-mec |
Research Abstract |
市中感染型MRSAは健常人に感染し重篤な病気を引き起こすため、社会上の問題となっている。病院で分離される医療関連MRSAに比べて、市中感染型MRSAは病原性が強いとされているが、そのメカニズムはよくわかっていない。以前我々は、医療関連MRSAが持つ可動遺伝要素SCCmec領域に見出されるが、市中感染型MRSAのSCCmec領域には見出されないpsm-mec遺伝子の転写産物が黄色ブドウ球菌の毒素Phenol Soluble Modulin α (PSMα)の発現を抑制することを見出している。本研究で我々は、psm-mec RNAが毒素PSMαの正の転写因子をコードするagrA遺伝子のmRNAに特異的に結合し、その翻訳を抑制する事を見出した。さらに我々は、疫学的調査を行い、臨床分離されたMRSA 325株のうち、25パーセントの株において、プロモーター部位の変異によりpsm-mec遺伝子の転写が抑制されていること、9パーセントの株においては、psm-mec遺伝子が存在しないことを見出した。これらのpsm-mec遺伝子変異株の多くの株においては、野生型psm-mec遺伝子を有する株に比べて細胞溶解毒素PSMαの産生量が多くなっており、その中の一部は市中感染型MRSA USA300と同等の量のPSMαを産生していた。さらに、野生型psm-mec遺伝子を有するMRSA株からpsm-mec遺伝子を欠損させると、agrA遺伝子の翻訳産物量と細胞溶解毒素PSMαの発現量が増加し、マウスの皮膚感染モデルにおいて病原性が上昇した。以上の結果は、psm-mec遺伝子の転写産物はagrA遺伝子の翻訳抑制を介して、細胞外毒素の発現を抑制し、MRSAの病原性を抑制する機能を有していること、psm-mecの欠損が市中分離型MRSAの高病原性の要因であることを示唆する。
|
Research Products
(22 results)
-
-
[Journal Article] Impact of psm-mec in the mobile genetic element on the clinical characteristics and outcome of SCCmec-II methicillin-resistant Staphylococcus aureus bacteraemia in Japan.2014
Author(s)
Aoyagi T*‡, Kaito C*‡ (‡equally contribution), Sekimizu K, Omae Y, Saito Y, Mao H, Inomata S, Hatta M, Endo S, Gu Y, Tokuda K, Yano H, Kitagawa M, Kaku M.
-
Journal Title
Clin Microbiol Infect.
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
-
-
[Journal Article] Mobile genetic element SCCmec-encoded psm-mec RNA suppresses translation of agrA and attenuates MRSA virulence.2013
Author(s)
*Kaito C, Saito Y, Ikuo M, Omae Y, Mao H, Nagano G, Fujiyuki T, Numata S, Han X, Obata K, Hasegawa S, Yamaguchi H, Inokuchi K, Ito T, Hiramatsu K, Sekimizu K.
-
Journal Title
PLoS Pathog.
Volume: 9(4)
Pages: e1003269.
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 新規機能性RNA psm-mecはagrA遺伝子の翻訳を抑制してメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の病原性を抑制する2013
Author(s)
幾尾 真理子, 齋藤 裕樹, 大前 陽輔, 毛 瀚, 長野 源太郎, 藤幸 知子, 沼田 俊介, 韓 笑, 小幡 佳津明, 長谷川 節雄, 山口 博樹, 猪口 孝一, 伊藤 輝代, 平松 啓一, 伊藤 孝司, 関水 和久, 垣内 力
Organizer
第86回日本生化学会大会
Place of Presentation
神奈川県 横浜市
Year and Date
20130911-20130913
-
-
-
-
-
-
-