2014 Fiscal Year Annual Research Report
芽胞形成をターゲットとしたウェルシュ菌病原性の包括的解析
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24590520
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大谷 郁 金沢大学, 医学系, 講師 (30377410)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 芽胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウェルシュ菌は芽胞形成嫌気性桿菌であり、ヒトの腸内正常細菌叢として存在する一方で、ガス壊疽や食中毒をヒトに引き起こす。ウェルシュ菌のおかれた環境が悪くなると芽胞を形成し様々な環境に耐えうる。芽胞は耐薬品、耐熱性にすぐれており、芽胞に汚染されたものはそれを完全に除去することは難しく、食品や医療器具などの汚染が問題となる。本研究では芽胞形成調節ネットワークを明らかとし、芽胞対応策の手がかりを得ることを目的とし研究を行った。これまでに芽胞形成実験に用いてきた株は多くの毒素遺伝子を欠失しているため、我々で選定した芽胞形成をしかつ毒素遺伝子をほとんど保有するKZ119株を用いて、新たな変異株の作製を行った。主な毒素遺伝子の調節遺伝子ならびに芽胞形成調節遺伝子の変異株を作製し、これらの遺伝子発現を確認した。その結果、これまで用いてきた株と遺伝子発現調節の主要な部分に変化はなく、多くの毒素遺伝子群は二成分制御系VirR/VirSシステムならびに調節RNAであるVR-RNAで制御を受けていることが確認された。芽胞形成も食中毒株と同様にvirX によって負に調節されていることが確認されたが、相補株の作成にまでは至っていない。ガス壊疽株の二成分制御系変異株を用いたマイクロアレイによる遺伝子発現解析により、ウェルシュ菌に存在する28の二成分制御系のうち、複数の二成分制御系により芽胞形成が調節されている可能性が示唆された。この解析に用いたガス壊疽株は、芽胞形成遺伝子のうちの1つに変異があることから、芽胞形成効率がかなり低いため、今後、食中毒株SM101ならびにKZ119株を用いて変異株を作製し芽胞形成を確認することで、さらに芽胞形成ネットワークを詳細に解析して行くことが必要であると考えられる。
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Research Products
(3 results)