2014 Fiscal Year Annual Research Report
ピロリ菌の発癌に関わる病原因子としてのリポ多糖の多様性
Project/Area Number |
24590530
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
横田 伸一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10325863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 聡 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10588479)
藤井 暢弘 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90133719) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / リポ多糖 / 抗原性 / 糖鎖抗原 / 菌株多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
ピロリ菌株の多様性と鉄欠乏性貧血発症の関連についての検討を実施した。鉄欠乏性貧血患者由来菌株(IDA株)24株と貧血症状のない胃十二指腸疾患患者由来の菌株(non-IDA株)25株について比較を行った。すでにIDA株はnon-IDA株に比較して鉄イオンの取り込み能が高く、鉄存在下における菌の増殖速度の亢進を認めており、これら鉄欠乏性貧血発症に関連すると考えられる活性の差異と菌株の表現型との関係について検討した。 鉄取り込みに関与している遺伝子のうち、菌内膜の取り込み装置構成蛋白質のひとつであるFeoB、菌体外で鉄の運搬に関与しているneutrophil activating protein A (NapA)、および取り込みに関わる多くの遺伝子のリプレッサーであるferric upregulator (Fur) について塩基配列解析を行った。NapAは144アミノ酸残基中、4箇所のpolymorphismが認められた。そのうち70番目のアミノ酸は、IDA株24株中18株でThrであった。一方、non-IDA株25株では6株のみがThr型であり、両群間で出現頻度に有意な差が認められた。Furは150アミノ酸残基中7箇所に、FeoBは642アミノ酸残基中に70箇所以上にpolymorphismを認めたが、IDA株群とnon-IDA株群で出現頻度に有意な差のあるものは認めなかった。 リポ多糖の抗原性については、高抗原性エピトープと低抗原性エピトープそれぞれに対する特異抗体を含有するヒト血清を用い、それらの反応性をproteinase K処理菌体を抗原としたイムノブロット法で検討した。高抗原性エピトープ保有株、低抗原性エピトープ保有株の出現頻度はIDA株とnon-IDA株との間で有意な偏りを認めなかった。以上の結果からリポ多糖の抗原性と鉄欠乏性貧血発症リスクには関連性は見いだせなかった。
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