2012 Fiscal Year Research-status Report
選択的液胞破壊作用に基づく新たな抗真菌化学療法の開発
Project/Area Number |
24590532
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
荻田 亮 大阪市立大学, 都市健康・スポーツ研究センター, 准教授 (00244624)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 液胞破壊作用 |
Research Abstract |
本年度研究においては、まず Saccharomyces cerevisiae 標準株および病原性酵母 Candida albicans をモデルとして、アリシンおよびアンホテリシンB(AmB)以外に液胞膜断片化を介して殺真菌活性を引き起こす新規因子の探索を行った。その結果、既存抗生物質ニフィマイシンの側鎖である N-methyl-N''-dodecylguanidine(MC12)が S. cerevisiae および C. albicans に対して AmB の液胞膜障害作用を増幅することを見いだした。また、抗グラム陰性細菌剤ポリミキシンB(PMB)においてはアリシンとの併用によってこれらの真菌に対して液胞膜障害作用に起因する殺真菌作用を引き起こすことが判った。MC12においては単独では液胞膜障害作用を引き起こさないが、AmB との併用によってのみ真菌液胞膜の断片化を引き起こすことが判った。すなわち、MC12 は AmB が有する液胞膜障害作用を増幅していることが明らかになった。さらに、高濃度のエルゴステロールで処理した真菌細胞は MC12 とAmB による本活性に対して耐性を示すことから、アリシンと同様にエルゴステロールの細胞内輸送に関与して液胞膜障害作用を発揮しているものと推察された。一方、PMB が細胞小器官を破壊する作用を有するかどうかについて検討した結果、高濃度で処理した場合ににおいて単離液胞の断片化を引き起こすことが明らかになった。アリシンは液胞膜障害作用を得有していないことから、PMB に関してはアリシンが、その細胞内への取り込みを促進することで液胞膜に対する直接的な作用を助長していることが明らかとなった。目下のところ液胞に対する作用部位を特定するために、単離液胞のより効率的な分画手法について改善・検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に予定していた研究執行計画を順調かつ確実に遂行させており、その結果も良好・明確である。 よって、「研究の目的」の達成度は、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 液胞膜障害を引き起こす新規因子のスクリーニングシステムの確立 スクリーニング実験によって新たに見いだされた天然由来成分から、有効成分を同定する。同定された分子が液胞膜にどのような影響を及ぼすのか、放射線ラベル、蛍光プローブ標識等を駆使し、明確な情報を得る。 2. AmB 耐性菌に対する有効性の検証 C. albicans、 A. fumigatus など種々病原性酵母および糸状菌の臨床由来株に対するAmB+アリシン、およびスクリーニング実験によって新たに見いだされた因子の殺菌効果についてインビトロ抗菌試験を行って系統的データを得る。また、AmB 耐性株(臨床由来株を取得できない場合にはAmB に耐性を示す遺伝子欠損株(delta erg 2~6)を使用)についても、インビトロ抗菌試験における系統的データを取得する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費(試薬等)1,200,000円 旅費(成果発表・情報収集)500,000円 人件費・謝金(英文校閲・論文投稿料)300,000円
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Research Products
(2 results)