2013 Fiscal Year Research-status Report
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24590534
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
羽田 健 北里大学, 薬学部, 講師 (00348591)
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Keywords | サルモネラ / III型エフェクター / NF-κB不活化 |
Research Abstract |
SseK1、SseK2およびSseK3はサルモネラ属菌が保有する2つのIII型分泌機構T3SS-1およびT3SS-2から分泌されるエフェクタータンパク質である。これまでにこれらのタンパク質がサルモネラのマウスに対する病原性に関与することが明らかになっているが、その機能は不明である。そこでサルモネラ感染時におけるSseK1、SseK2およびSseK3の機能を詳細に解析することを試みた。 SseK1、SseK2およびSseK3は腸管病原性大腸菌のIII型エフェクターNleBとそれぞれアミノ酸相同性をもつ。NleBはNF-κB活性化経路を不活化する機能を持つことから、SseK1-3も同様の機能を持つことが予想された。そこで、ヒト子宮頸癌由来上皮細胞株HeLaにNF-κBプロモーター部位をもつルシフェラーゼレポーターベクターとSseK1またはSseK2、SseK3をコトランスフェクションし、ルシフェラーゼアッセイによりSseK1-3がNF-κB経路を不活化するか否かを調べた。また、SseK1-3をそれぞれトランスフェクションしたHeLa細胞をTNF-αで刺激し、活性化したNF-κB経路を不活化するか否かを抗リン酸化IκBα抗体を用いたイムノブロッティングにより検証した。その結果、SseK1およびSseK3でNleBと同程度のNF-κB活性化の抑制がみられた。次にSseK1およびSseK3と相互作用する宿主因子を同定するために、SseK1およびSseK3をGST融合タンパク質として大腸菌内で大量発現させ、精製後、HeLa細胞の細胞溶解液と反応させ、GSTプルダウンアッセイによりGST-SseK1またはSseK3と結合する宿主因子を質量分析により同定することを試みた。しかし、これまでにSseK1またはSseK3と結合する宿主因子は同定できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度はサルモネラIII型エフェクターSseK1-3のうちSseK1およびSseK3にNF-κB活性化を抑制する機能をもつことを明らかにした。また、これらサルモネラエフェクタータンパク質と結合する宿主因子を同定することには至っていないが、同定するために必要なプラスミドまたは菌株を作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
近年、他の複数の研究グループにより腸管病原性大腸菌のIII型エフェクターNleBと結合する宿主因子としてGAPDHやDeath Domainタンパク質(FADDおよびTRADD)が同定され、また、NleBはN-acetylglucosamine transferase活性を持つことが報告された。今後、SseK1またはSseK3が(1)これらタンパク質と結合するか否か、(2)この酵素活性をもつか否かを検討する。具体的な方法を以下に示す。 (1)予想される宿主タンパク質との結合性の有無を調べる NleBとの結合が報告されたGAPDH、TRADDまたはFADDを哺乳動物発現ベクターにクローニングし、すでに作成済みのSseK1-FLAGまたはSseK3-FLAGとHeLa細胞にコトランスフェクションし、FLAGプルダウンにより結合したタンパク質をイムノブロッティングにより同定する。 (2)酵素活性の有無を調べる GAPDH、TRADDおよびFADDをそれそれ適当なタグとの融合タンパク質として大腸菌で発現精製し、同様に精製したGST-NleB、-SseK1または-SseK3(作成済み)とUDP-GlcNac(基質)を混和し、抗N-GlcNac抗体を用いたイムノブロッティングを行う。SseK1またはSseK3がN-acetylglucosamine transferaseとして機能するならそのターゲットと考えられるタンパク質(GAPDH、TRADDまたはFADD)をN-GlcNac化することが予想される。
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