2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590538
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
宮田 茂 中部大学, 応用生物学部, 准教授 (90314913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 昭延 中国学園大学, 現代生活学部, 教授 (20093677)
成谷 宏文 香川大学, 医学部, 助教 (30452668)
森山 龍一 中部大学, 応用生物学部, 教授 (60191061)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ウェルシュ菌 / 糖鎖分解酵素 / 病原性 |
Research Abstract |
ウェルシュ菌の感染時に重要な働きをすることが示唆されている糖鎖分解酵素のなかで、本菌の侵襲性に大きく影響を与えると考えられるヒアルロニダーゼや各種糖鎖分解酵素の性質を明らかにすることを試みた。 ヒアルロニダーゼ遺伝子としてCanardらによりnagHが報告されており、その後のゲノムプロジェクトによりnagI, nagJ, nagK及びnagLの計5種類が知られている。そのなかで、まず、組換えウェルシュ菌によりNagH及びNagJを過剰発現させ、これらの酵素を精製した。精製したNagH及びNagJには、pNP-GlcNAcは加水分解したが、ヒアルロン酸分解酵素活性は全く検出されなかった。pNP-(GlcNAc)2やpNP-(GlcNAc)3、キチンを基質とした場合、NagJはこれら基質を徐々に分解するが、NagHは全く分解しなかった。次に、同様に発現・精製したウェルシュ菌のβ-ガラクトシダーゼ(BgaA)及びシアリダーゼ(NanI、NanJ)で処理したfetuinを基質とした場合、NagJでは効率よくGlcNAcを遊離したが、NagHではGlcNAcの遊離は認められなかった。HT-29細胞抽出物を基質としたところ、両酵素ともO-GlcNAc化タンパク質からGlcNAcを遊離させた。一方、NagH、NagJともに、L-AsnにGlcNAcが結合したN-Asnやendo-H処理したRNaseBからN-結合型GlcNAcの遊離は認められなかった。これらの結果から、NagJは糖鎖の末端GlcNAcを分解するN-acetyl-β-glucosaminidaseで、NagHはO-GlcNAc化タンパク質からGlcNAcを遊離させる厳密な基質特異性を有するO-GlcNAcaseであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ウェルシュ菌感染時における糖鎖分解酵素の役割を解明することを目的として、糖鎖分解酵素を発現・精製し、基質特異性、糖鎖結合特性を解析すると共にそれらの協同作用を明らかにすることを目指している。当初から計画どおり研究が進まないことを考慮して、各課題を並行して進めることができるように研究を計画している。平成24年度の実施計画で示したNagI、NagK、NagLの発現・精製は未だ成功していないが、平成25年度、平成26年度に実施を計画していた課題を前倒しし、NagHの基質特異性解析や構造解析のための触媒ドメイン発現系の構築に成功するとともに、真のヒアルロニダーゼである新規リアーゼの発現と一部機能解析に成功した。それらのことから、全体的にはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に立ち返り、引き続き、NagI、NagK、NagLの発現・精製系の構築を進める。NagIとNagKは、LPxTG-motifをもつため、今回新規リアーゼで得られた知見が役に立つと考えられる。精製できた酵素から、基質特異性、糖鎖結合特性を解析する。また、BgaAやNanJ等その他の酵素との協同作用を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新たにLPxTG-motifをもつ新規リアーゼを見出し、機能解析のために発現系の構築を試みた。推定分子量が113 kDaと大きく、その遺伝子が極端にAT-richであるため、大腸菌での発現は断念し、ウェルシュ菌での発現を試みた。遺伝子全長を発現させるためのプラスミドの構築には成功したが、その発現プラスミドでウェルシュ菌13株及びウェルシュ菌Clp-株の形質転換体は得られなかった。この問題を回避するために、種々の検討を行った。最終的には、LPxTG-motifを欠失させることによりウェルシュ菌による大量発現に成功したが、そのため、当初計画の順番を入れ替え、「次年度使用額(B-A)」が生じた。 平成25年度には、当初平成24年度に計画していた研究を続行するため、使用計画に大きな変更はない。
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Research Products
(1 results)