2013 Fiscal Year Research-status Report
志賀毒素1と2を交差性に中和するHUSヒト型モノクローナル抗体治療薬の開発
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24590539
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
辻 孝雄 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (60171998)
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Keywords | 腸管出血性大腸菌(EHEC) / HUS / Stx1と2 / 経鼻投与ワクチン / 抗体治療薬 / Stx2B-His / ニワトリIgY |
Research Abstract |
腸管出血性大腸菌(EHEC) はHUS等の重篤症状を引き起こす原因毒素、志賀毒素(Stx)を産生する。Stx は2種類の亜型(Stx1と2)があり、Stx2がHUSの主な原因である。そこで抗原性が低いが、副作用の少ないStx2のBサブユニット(Stx2B)を用いワクチン開発が行われてきた。しかし、いまだに成功していない。 我々はStx1と2を交差性に中和する抗体を誘導する経鼻投与Stx2誘導体ワクチン、及び治療薬として両毒素を共に中和するニワトリIgYやマウスまたはヒトMAbの開発実験を行ってきた。その結果、粘膜アジュバントとして毒素原性大腸菌のLTの変異毒素(mLT)を用い、マウスの経鼻免疫でStx2の中和抗体を誘導するHis-tagged Stx2B(Stx2B-His)の作成に成功した。また、抗Stx2B-His抗体は両毒素を交差性に中和することを明らかにした(Vaccine, 24:3591.2006、26.469. 2008、26:2092.2008)。さらにニワトリ抗Stx2B-His IgYが両毒素を交差性に中和することも明らかにし、将来HUS予防の経口投与治療薬として利用できることを明らかにした(PLos One、 e26526、2011)。 従って、本企画は第1にmLTとStx2B-Hisの同時経鼻投与により誘導できた抗Stx2B-His抗体が、Stx1と2を交差性に中和することを解明した点、非常に独創性が高い。 さらにPhage display法により毒素中和能に優れたヒト型抗Stx1モノクローナル抗体(MAb)の分離にも成功している(Vaccine,29:5340,2011)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Stx1と2を交差性に中和するヒトまたはマウスStxB MAbを分離し、HUS治療薬としての臨床応用を目的とし、マウスのMAbの分離を試みてきた。 その結果、両毒素の交差性に中和できる抗体を数種類分離には成功している。しかしながら、これらの抗体は主にIgMタイプであった。しかも、両毒素の対する中和能力が弱い。一方、両毒を同時に中和するIgGタイプのMAbの分離は非常に困難であった。Stx1、Stx2のどちらか一方を強力に中和できる抗Stx2B抗体の分離には成功しているが。 今後IgGタイプの両毒素を同時に中和できる抗体の分離を試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
より多様なMAbの分離に成功したと報告されている免疫不全マウスBxSB/MpJ Jms SRcを用いて、MAbの作成を試みる。免疫不全マウスを毒素原性大腸菌の産生する下痢毒(LT)の変異体とStx2B-Hisを混合して、2週間ごとに3回経鼻免疫を行う。最後の投与後2週間してStx2B-Hisでブースターをかけ、3日後に常法に従い、細胞融合を行い、MAbの分離を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究に本年度よりも経費が必要であり、研究の継続のため次年度に使用額が生じた。 次年度には全額を消費予定している。
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Research Products
(7 results)