2013 Fiscal Year Research-status Report
既存認可薬の作用点とは異なる部位を標的とした抗インフルエンザ薬の開発
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24590548
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
星野 忠次 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (90257220)
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Keywords | インフルエンザ / 阻害剤 / 計算機解析 / 薬物設計 / 共結晶構造解析 / 有機合成 |
Research Abstract |
インフルエンザウイルスの薬剤耐性に対処するために、作用機序の異なる複数の薬剤を備えておくことは、極めて重要である。現在の認可薬は、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼあるいはM2チャネルタンパク質を標的としている。本研究では、これらの標的とは異なるインフルエンザウイルスの酵素タンパク質に注目し、治療薬候補化合物の開発を進めている。既に、ポリメラーゼのエンドヌクレアーゼ活性を標的として、ウイルスの感染を阻害する化合物を見出している。本年度は、十数種類の類似化合物を合成し、この中から先導化合物より高い阻害活性を持つ新規の化合物の探索を行った。本研究では、理論計算・有機合成・生化学実験を融合させ、阻害剤の開発を進めている。 具体的には、化合物と標的タンパク質との相互作用を計算機で解析して薬物の分子設計を行った。算出された結合親和性を参考に、活性増加の見込める分子構造をデザインした。次に、計算機解析により有望と判断された化合物とその誘導体の有機合成を行った。有機合成によって得た化合物について、酵素阻害活性があるか否かを、生化学実験により測定した。薬物設計において、活性化合物がどのように酵素活性部位に結合しているかを知ることは、化合物を改変して、活性の高い薬物を設計するために、必要不可欠の情報である。そこで標的タンパク質と化合物との共結晶を作成して、X線結晶構造解析を行うことを試みた。昨年度までに、標的タンパク質に関して幾つか微小な結晶は得られていた。今年度は、結晶化条件を最適化して、2.0Åの分解能でX線回折が得られた。今後、幾つかの合成化合物と標的タンパク質との共結晶構造解析を通じて、より阻害効果の高い薬物構造を設計して、薬物改変を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規に設計し合成した十数種類の類似化合物の中には、先導化合物より高い阻害活性を持つものが得られた。さらに十分な分解能のあるタンパク質結晶が得られたことで、標的タンパク質と阻害化合物の結合構造が解明でき、より阻害活性の高い新規合成化合物が作出できる見込みが得られた。また本研究では、先導化合物を足掛かりに、理論計算・有機合成・生化学実験を融合させ、標的タンパク質に対する阻害剤の開発を行うことを計画したが、いずれの研究分野も遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、理論計算・有機合成・生化学実験を融合させ、インフルエンザウイルスが持つタンパク質分子を標的とした阻害剤の開発を進める。本研究では、理論計算・有機合成・生化学実験を融合させ、これらを効率的に遂行する。具体的に次の手順で研究を進める。 1.化合物と標的タンパク質との相互作用を計算機で解析して、薬物の分子設計を行う。2.計算機解析により有望と判断された化合物とその誘導体の有機合成を行う。3.有機合成された化合物分子の酵素阻害活性を生化学実験で測定する。4.化合物の存在下で、インフルエンザウイルスの他の細胞への感染能を定量化する。5.阻害活性測定の結果を、化合物の設計と合成に反映させて、候補薬物の最適化を繰り返す。 これらの複数の研究技術の融合は目標達成に向け欠かせない。
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Research Products
(5 results)