2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590552
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
新矢 恭子 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90374925)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ウイルス変異 |
Research Abstract |
ミニゲノムシステムを用いたポリメラーゼ活性測定法を用いて、2001年に新たに報告されたインフルエンザAウイルスの11番目の固有タンパク質であるPB1-F2が、ポリメラーゼ活性に与える影響を調べた。PB1-F2はこれまでに、アポトーシス促進機能、炎症反応の増大、PB1との相互作用によるポリメラーゼ活性の調節などの機能を持つことが示唆されている。申請者らはPB1-F2の持つポリメラーゼ活性の調節機能に着目し、ミニゲノムシステムを用いてPB1-F2内のアミノ酸変異がポリメラーゼ活性に及ぼす影響を調べた。データベース検索により宿主特異性が見られた3種類のアミノ酸、および、マウスでの病原性が確認されているアミノ酸変異がウイルスポリメラーゼ活性に及ぼす影響を見た結果、鳥由来ウイルスで高度に保存されている29番目のアミノ酸Rが、哺乳類細胞においてのウイルスポリメラーゼ活性を著しく上昇させることが分かった。PCRベースのin vitro蛋白質発現系を導入し、PB1-F2蛋白質の発現実験を行って成功している。しかしながら、プルダウン法による網羅的な宿主蛋白質との結合調査を試みた結果、未だ宿主蛋白の同定に至っていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの実験で、ポリメラーゼ活性が高いRNAポリメラーゼ複合体では、遺伝子複製時の変異率が高いことがわかっている。したがって、ポリメラーゼ活性を指標に、解析をすすめた。前回の実験と同様に、ミニレプリコンシステムを用いた。A型インフルエンザウイルス由来のウイルスRNAポリメラーゼ複合体タンパク質(PA、PB1、PB2、NP)の発現ベクターと、テンプレートの疑似ウイルスRNAの発現用ベクターを作成した。レポーター蛋白質を測定し、ウイルスRNAポリメラーゼの活性量とした。各条件下でのポリメラーゼ活性がわかった。ポリメラーゼ活性に影響するPB1-F2ウイルスタンパク質に結合する宿主タンパク質を免疫沈降法で調べるため、使用したA型インフルエンザウイルスのPB1-F2に対する抗体を作成した。前述のミニレプリコンシステムを用いて、核内タンパク質を抽出し、作成した抗体を用いて、免疫沈降法にて、結合する宿主タンパク質を採取した。しかしながら、タンパク質の解析に至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
採取したタンパク質を、質量分析にて、タンパク質同定を行う。この実験で、ポリメラーゼ活性の変化にかかわると推定される宿主タンパク質が同定される。また、ウイルス側の要因に立ち戻り、変異を起こしやすいことが知られているウイルス株と、変異を起こしにくいウイルス株について解析を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞・細胞培養試薬、タンパク合成試薬、シークエンス解析、作業者への謝金、外部委託費等により、計900000円の支出予定。
|