2012 Fiscal Year Research-status Report
CM2の塩素イオンチャネル活性はC型インフルエンザウイルスの増殖を制御するか?
Project/Area Number |
24590560
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
村木 靖 金沢医科大学, 医学部, 教授 (00241688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大桑 孝子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (20460347)
本郷 誠治 山形大学, 医学部, 教授 (90229245)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | C型インフルエンザウイルス / CM2蛋白 / イオンチャネル / uncoating / packaging / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
C型インフルエンザウイルスの第二の膜タンパク質CM2は1994年に同定された。CM2を欠損させた組換えウイルスは回収できなかったことから、CM2はウイルスの増殖に必須であることが考えられた。しかしCM2のウイルス増殖における役割は不明であった。 CM2を欠損したウイルス様粒子の解析結果から、CM2は粒子の形成や産生量には影響を与えないが、ウイルスゲノムの粒子中へのpackagingと粒子のuncoatingに関与することが強く示唆された。しかしこれらの知見は、レポーター遺伝子をゲノムとして持つウイルス様粒子とその感染細胞の解析結果に基づき得られたものであるため、感染性粒子を用いてそのことを証明することが必要であった。 上述のようにCM2を欠損させた組換えC型ウイルスは回収できないことから、本研究ではCM2の翻訳後修飾部位に着目した。CM2は翻訳後、以下の4つの修飾を受ける:糖鎖の付加、量体形成、リン酸化、パルミチン酸化。本研究では、まず糖鎖付加を欠くCM2をもつ組換えC型ウイルスの作製と解析を行い、下記のようにおおむね順調に目的を達成できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CM2は115個のアミノ酸から成るIII型の膜糖タンパク質であり、翻訳後、11位のアスパラギン残基に糖鎖が付加される(N-glycosylation)。本年度はN-glycosylationを欠く組換えウイルスの作製を試み、以下の知見を得、学術論文として公表した(Virology, 433, 167-175, 2012)。 CM2の11位のAsnをAlaに置換すべく、ウイルスのM遺伝子に変異を導入したcDNAを作製し、これをPol Iプラスミドにクローニングした。これを組換えC型ウイルスの作製に必要な15種類のプラスミドと共に293T細胞にトランスフェクションし、培養上清から組換えウイルス(rN11A)を回収した。 rN11Aの増殖能は親ウイルス(rWT)より10倍劣っていた。またrT13Aウイルス(糖鎖付加のためのコンセンサス配列を欠くCM2をもつウイルス)の増殖能もrWTより10倍劣っていた。このことから導入した変異ではなく、糖鎖の欠失がウイルスの増殖に影響を及ぼしていることが明らかになった。 rN11A感染細胞と一段階増殖させたrN11A粒子中のウイルス遺伝子とタンパクの発現を解析し、rWTと比較した。しかし有意差のある結果は得られなかった。そこで糖鎖を欠くCM2をもつウイルス様粒子(N11A-VLP)を作製し野生型ウイルス様粒子と比較した。その結果、N11A-VLP中の遺伝子量は野生型VLPの13%であり、またN11A-VLP感染細胞においてuncoatingしたウイルスゲノムが核に輸送される効率が劣っていた。これらのことからCM2のN-glycosylationがpackagingとuncoatingに関与することが明らかとなった。すなわち、rN11Aの増殖能の低下はpackagingとuncoatingの効率の低下に起因すると結論された。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的はCM2のチャネル活性とウイルス増殖の関連を解析することである。したがって、CM2への糖鎖付加とpackagingとuncoatingの関連を明らかにするために、上記の11位のAsnをAlaに置換したCM2がチャネルとしてどのような性状をもつのかを解析し、野生型CM2と比較する必要がある。現在、そのための準備を進めている。 CM2が受ける4つの翻訳後修飾のうち、パルミチン酸化部位(65位のシステイン)を欠損したCM2をもつ組換えウイルスは回収できたが、その増殖能は野生型と同じであった。したがってこのウイルスを用いて増殖過程におけるCM2の役割を解析することは不可能であると考えられた(Virus Res, 157, 99-105, 2011)。 そこで今後は、量体形成に関与する細胞外領域の3か所のシステイン、および細胞質内に存在する3か所のセリンに変異を導入した組換えウイルスの作製と解析を行う予定である。解析方法は上記のrN11AやN11A-VLPに用いたものを応用する。そして著しいウイルス増殖能の低下がみられる変異体については、チャネル活性としての解析を行う予定である。 またCM2のチャネル活性はその膜貫通領域に担われている。今後は、23個のアミノ酸から成る膜貫通領域を他の膜タンパク質の膜貫通領域に置換したCM2をもつ組換えウイルスとウイルス様粒子の作製を試みる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(9 results)