2012 Fiscal Year Research-status Report
EBVの潜伏と再活性化を制御するシス・トランスエレメントとエピジェネティックス
Project/Area Number |
24590566
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 愛知県がんセンター(研究所) |
Principal Investigator |
村田 貴之 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍ウイルス学部, 研究員 (30470165)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再活性化 |
Research Abstract |
本研究ではEBウイルス再活性化の分子メカニズム解析を目的としている。 EBウイルスの再活性化は、ウイルスの前初期遺伝子であるBZLF1の発現量によって制御されており、BZLF1の発現はその転写の段階で厳密にコントロールされている。そこで、BZLF1プロモーターを活性化させ得る転写因子を、ライブラリスクリーニングにより網羅的に探索した。再活性化を制御する転写因子として得られた遺伝子について、基本性状を確認したのち、さらにそれらの遺伝子産物の結合サイトに点変異を導入した組み換えEBウイルスを作製した。結果、MEF2ファミリー転写因子がEBウイルス再活性化において非常に重要な働きをしていること、また、他にSP1/KLFファミリー、b-Zip型転写因子も重要であることが明らかとなってきた。 このウイルスはHEK293細胞に潜伏感染している状態で維持しており、そこに再活性化を誘導する等して解析していたが、HEK293はEBウイルスにとって自然な宿主細胞ではない、との批判を受けた。そこで現在は、変異ウイルスをヒトB細胞に感染しなおし、解析をやり直している。予備的実験の結果、B細胞においても、MEF2ファミリー、SP1/KLFファミリー、b-Zip型の転写因子が重要であることが明らかとなった。また、これらの転写因子結合サイトを変異させたウイルスは、BZLF1のみならず、隣接するもうひとつの前初期遺伝子であるBRLF1の転写も抑制されていた。 これらの結果はウイルス学的に重要な発見であるばかりでなく、溶解感染誘導療法へ向けた重要な基礎的知見となりうるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標であった、転写因子の解析、変異ウイルスの作製まで終了しており、その先の解析も順調で、よい成果が出てきている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、主にヒトB細胞における、変異ウイルスの性状、挙動を詳細に解析する。 具体的には、ウイルスの遺伝子発現について、リアルタイムPCRを用いて詳細に観察するほか、同時にクロマチン免疫沈降法(ChIP)や、バイサルファイト法を用いて、ウイルス再活性化を制御しているエピジェネティック修飾について、MEF2ファミリー、SP1/KLFファミリー、b-Zip型の転写因子の変異の有無と相関させながら解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
クロマチン免疫沈降法(ChIP)には、高価な抗体が多く必要となる。どのようなエピジェネティックスが重要なのか知るためには、多種類の抗体を必要とする。バイサルファイト法にははやり特殊な試薬、酵素が必要となる。このほかにも、プライマー、培養液やディッシュなど研究遂行状必要なものがたくさんあり、消耗品、物品の購入費が支出の主要な内訳となるであろう。 また、自身の成果を発表するとともに最新の知見を得るためにも、学会、会議への出席のための旅費を計上したい。
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