2012 Fiscal Year Research-status Report
潜伏感染EBウイルスゲノムの宿主染色体付着機構の解析
Project/Area Number |
24590567
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 愛知県がんセンター(研究所) |
Principal Investigator |
神田 輝 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍ウイルス学部, 室長 (50333472)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | EBウイルス / EBNA1 / 染色体 |
Research Abstract |
EBNA1蛋白質は、N末端側およびC末端側の二つの異なる機能ドメインを介して、それぞれ宿主染色体およびウイルスゲノム(oriP領域)に結合し、両者のつなぎとめをおこなうことで、エピゾームの安定な核内維持に寄与する。N末端側の二ヶ所に分かれて存在する「染色体結合ドメイン(chromosome binding domain, CBD)」には計24個のアルギニン残基が存在し、塩基性ドメインを形成している。本研究では、CBD領域への変異導入による染色体局在能の変化について、蛍光蛋白質を用いた実験系により検討した。すなわちEBNA1蛋白質全長あるいは二つのCBD(CBD1, CBD2)領域を、赤色蛍光蛋白質mCherryとの融合蛋白質として発現するベクターを構築し、これをヒストンH2B-GFP発現HeLa細胞に一過性ないし安定発現させて生細胞で局在を観察した。CBD-mCherry融合蛋白質は、EBNA1-mCherry融合蛋白質と同様に、間期細胞核内および分裂期染色体上に局在した。CBD1、CBD2領域へ欠失変異、およびアルギニン残基へのアラニン置換変異を導入し、その影響を調べたところ、①CBD1およびCBD2が協調して機能すること、②アラニン置換変異導入によりアルギニン残基の数を減少させると、それに比例してCBD-mCherry融合蛋白質の核局在・染色体局在が減弱することが明らかになった。 以上よりEBNA1蛋白質のCBD内に多数存在するアルギニン残基が、EBNA1蛋白質の染色体局在化において必須であることが明らかになった。またH2B-GFPとCBD-mCherryの両者を安定発現するHeLa細胞は、EBNA1蛋白質の染色体結合に対する阻害効果を生細胞で容易に判定できるという点で、新規EBNA1阻害薬探索に向けたhigh content screeningへの応用が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EBNA1蛋白質の染色体結合ドメインの変異体作製および各種変異体の細胞内局在の解析が順調に進んだ。その結果、染色体結合ドメイン内に存在するアルギニン残基の数が重要であることが明らかになった。またEBNA1蛋白質の染色体結合の阻害薬のスクリーニングに有用であると思われる新しい実験系を構築することができ、平成25年度に行う研究の基盤ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
①全長EBNA1を用いて染色体結合ドメイン内のアルギニン-アラニン置換変異体を作製し、各種EBNA1変異体の転写活性化能、EBウイルス由来のミニプラスミドであるoriPプラスミドの維持能を調べる。また同じアルギニン残基を塩基性アミノ酸であるリシンと置換した変異体を作製し、同様な解析を行うことで、アルギニン残基が重要なのか、あるいは塩基性アミノ酸であることが重要なのかを調べる ②申請者が開発した組換えEBウイルス産生系により、アラニン置換EBNA1変異体、ないしリシン置換EBNA1変異体を発現する組換えEBウイルスを産生し、そのヒトBリンパ球不死化能を決定することで、EBNA1変異体の染色体局在能と、組換えEBウイルスのリンパ球不死化能との間の相関関係の有無を調べる。 ③EBウイルス潜伏感染細胞に、EBNA1蛋白質の染色体結合ドメインを安定過剰発現させることで、EBNA1蛋白質の染色体局在を競合的に阻害して、EBウイルス潜伏感染細胞からウイルスエピゾームを駆逐可能か否か調べる。 ④既に樹立したヒストンH2B-GFP融合蛋白質およびEBNA1の染色体結合ドメイン-mCherry融合蛋白質(CBD-mCherry)の両者を安定発現するHeLa細胞を用いて、機能既知の標準阻害剤セット、さらに他の寄託化合物ライブラリーを添加することで、CBD-mCherry蛋白質の染色体結合を特異的に阻害し、H2B-GFP蛋白質の局在に影響しない低分子化合物蛍光顕微鏡下でスクリーニングする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に行われた研究において、消耗品については別財源により賄われたので、直接経費の956,331円分を未使用分として繰り越した。平成25年度は、この繰越分もあわせて使用する予定である。内訳としては、国際学会(イスタンブール)への参加旅費(約30万円)、4ヶ所への国内旅費(淡路、京都、横浜、神戸)(約30万円)、および論文投稿料(約10万円)、マイクロアレイ解析の外注費用(約50万円)、さらに各種実験の消耗品の購入(約120万円)にあてる予定である。
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Research Products
(5 results)