2014 Fiscal Year Annual Research Report
潜伏感染EBウイルスゲノムの宿主染色体付着機構の解析
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24590567
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
神田 輝 愛知県がんセンター(研究所), 感染腫瘍学部, 室長 (50333472)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | EBウイルス / EBNA1 / 染色体 / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルス蛋白質EBNA1の染色体結合ドメイン(chromosome binding domain, CBD)を蛍光蛋白質mCherryとの融合蛋白質(CBD-mCherry)として細胞内に安定発現させることで、EBNA1蛋白質の染色体結合能を迅速に評価できる。そこでヒストンH2B-GFP融合蛋白質およびCBD-mCherryの両者を安定発現するHeLa細胞を用いて、機能既知の標準阻害剤セットの添加によるCBD-mCherry融合蛋白質の局在変化を調べた。しかしながら今回の解析ではCBD-mCherry融合蛋白質の染色体付着のみを特異的に阻害する薬剤の同定には至らなかった。一方で、EBNA1蛋白質変異体をコードする組換えEBウイルスの作製をめざして実験系の改良を行っている過程で、EBウイルス関連上皮系がんで高発現するBART (BamHI A rightward transcript)マイクロRNA群が宿主遺伝子の発現制御を行うという興味深い実験結果を得た。そこでBARTマイクロRNA群を欠損する組換えウイルス、および全てのBARTマイクロRNA群を保持する組換えウイルスを作製し、両者がそれぞれ感染した上皮細胞を樹立した。樹立した細胞における宿主遺伝子発現を網羅的に解析し、BARTマイクロRNA群の標的遺伝子として上皮細胞特異的に発現するNDRG1遺伝子を同定した。さらにBARTマイクロRNA群の複数のマイクロRNAが協調してNDRG1の発現抑制に関与すること、またEBウイルス陽性上咽頭がん組織においてもNDRG1の発現抑制が認められることを明らかにした。以上の結果より、EBウイルスの上皮細胞感染時において、上皮細胞の分化特異的因子・転移抑制因子であるNDRG1蛋白質の発現を抑制し、上皮細胞の分化異常へ関与する、あるいは上咽頭がん細胞の転移の亢進に関与する可能性が示された。
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Research Products
(6 results)