2012 Fiscal Year Research-status Report
神経軸索伸長阻害因子による自己免疫疾患の新たな制御機構の解明
Project/Area Number |
24590572
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
乾 匡範 東北大学, 加齢医学研究所, 講師 (80443985)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 免疫制御 / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
Nogo/MAG/OMgpは神経系細胞に発現し,NgRやPirBを認識することにより神経軸索の伸張阻害を担う分子であるが,免疫担当細胞における機能は明らかになっていない.申請者は免疫応答,特にB細胞の分化や自己寛容の成立・維持における役割について検討するため,骨髄や脾臓,腹腔B細胞の分化・成熟,抗体産生に与える影響,in vitroでの抗原刺激に対する応答能など各種遺伝子欠損マウスを用いて解析した.骨髄におけるB細胞の分化において,Nogo遺伝子欠損マウスは野生型マウスと比較して未成熟B 細胞および成熟B細胞割合が増加することが観察された.さらに,自然抗体産生細胞である腹腔B-1細胞数の増加を認めた.Nogo遺伝子欠損マウスは無刺激状態において亢進したIgG抗体産生を認め,胚中心(GC)形成が亢進していることが示された.T細胞依存性抗原に対する免疫応答について確認したところ,Nogo遺伝子欠損マウスは野生型マウスと比較してGCB細胞数,形質細胞数,IgG抗体の産生量が増加することを確認した.しかしながら,in vitroで単離されたB細胞のLPS, CpG, anti-CD40抗体刺激における細胞増殖能について有意な差は見い出せていない.また自己免疫疾患の発症におけるNogoの役割を明らかにするため,加齢したNogo遺伝子欠損マウスの臓器を採取し病理組織学的解析を行ったが,明らかな異常は観察されていない.このように,自己免疫疾患の発症制御における役割は依然明らかではないが,NogoはB細胞による抗体産生を負に調節することが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫制御機構,特に自己抗体の産生と自己免疫疾患の発症機序に着目し, Nogo/MAG/OMgpのB細胞の自己寛容の成立・維持における役割の検討を行った.Nogo遺伝子欠損マウスの解析において,Nogoが胚中心の形成制御に重要な役割を果たすこと,さらにB細胞による抗体産生を負に調節することを明らかにした.一方,病理組織学的解析においてNogo遺伝子欠損マウスに明らかな異常は観察されておらず,Nogoの自己寛容維持機構における役割についてさらなる解析が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
Nogo遺伝子欠損マウスの解析よりNogoが胚中心形成や抗体産生を負に制御することが示唆された.しかしNogo単独の異常では明らかな自己免疫疾患の症状を呈さないことから,自己免疫疾患を自然発症するマウスと交配することにより自己免疫疾患に及ぼす影響を明らかにする.さらに,Nogo/MAG/OMgpや NgR1, PirBによるB細胞制御の分子機序を解明する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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