2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590577
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
長井 良憲 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 客員准教授 (30431761)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 免疫学 / 自然免疫 / 肥満 / 天然薬物 |
Research Abstract |
1) 脂肪組織炎症における可溶型MD-1の発現と機能に関して: (a)高脂肪食を摂餌した野生型マウスより内臓脂肪を採取し、脂肪細胞とSVF(stromal vascular fraction: 脂肪細胞以外の細胞分画)とに分画し、可溶型MD-1の産生を解析した。内臓脂肪組織において高脂肪食によって誘導される可溶型MD-1は、主にSVFから産生されることを見出した。(b)脂肪細胞株とマクロファージ細胞株との共培養による脂肪組織炎症モデルにおいて、可溶型MD-1が産生されるかどうか解析した。共培養後の培養上清中における可溶型MD-1量をELISA法で解析したが、検出されなかった。 2) RP105/MD-1の発現を抑制する薬物の探索に関して: (a)上記共培養系において、RP105/MD-1の発現や炎症マーカーの発現を低下させる天然薬物Aと類似の骨格を持つ天然薬物の効果を比較解析した。共培養系において、6つの類似天然薬物は天然薬物Aのような抗炎症効果を示さなかった。(b)天然薬物A が脂肪組織炎症を抑制する機序がPPARγアゴニスト作用によるものかどうか解析した。PPARγに結合するかどうかを解析したところ、陽性コントロールであるピオグリタゾンは濃度依存的な結合能を示したが、天然薬物Aは弱い結合能しか示さなかった。従って、天然薬物Aの脂肪組織炎症抑制効果は、PPARγアゴニスト作用によるものではないことが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・可溶型MD-1の発現機構に関して、高脂肪食により主にSVFから産生されることを見出した。今後、SVFのどの細胞群から産生されるかを、さらに詳細に解析する。 ・天然薬物Aの抗炎症効果が、PPARγアゴニスト作用によるものではないことを見出した。今後、その抗炎症作用機序をさらに詳細に解析する。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究実施計画に変更はなく、研究の準備も順調である。平成24年度において遅れていた研究を進め、平成25年度には完了させる。 1)脂肪組織炎症における可溶型MD-1の発現と機能に関して: (a)脂肪組織炎症に伴い、可溶型MD-1を産生する細胞を同定するために、免疫組織染色を行う。高脂肪食摂餌マウス由来内臓脂肪の組織切片を作製し、抗MD-1モノクローナル抗体で染色を行う。(b)研究代表者は MD-1を過剰に発現するMD-1トランスジェニック(Tg)マウスの作出に成功している。高脂肪食を摂餌したMD-1 T gマウスにおいて、脂肪組織炎症や肥満、糖尿病が増悪するかどうか以下の点について解析を行う。①体重を経時的に測定する、②高脂肪食摂餌開始12~16週間後に内臓脂肪を採取し、脂肪組織炎症の程度をTNF-αやMCP-1を指標にRT-PCR法で解析する、③同じく内臓脂肪を採取し、浸潤しているマクロファージなどの炎症細胞の数を測定する、④空腹時血糖値や血清コレステロール値など生化学的な解析を行う、⑤インスリン抵抗性を検討するために、インスリン負荷試験、グルコース負荷試験を行う。 2)RP105/MD-1の発現を抑制する薬物の探索に関して: (a)天然薬物Aが脂肪細胞とマクロファージのどちらに作用し、炎症抑制作用を示すのかを解析する。脂肪細胞単独またはマクロファージ単独に天然薬物Aを作用させた後に共培養を行い、炎症状態をTNF-αやMCP-1を指標にRT-PCR法で解析する。(b)天然薬物Aの個体レベルでの効果を解析する。高脂肪食をあらかじめ摂餌し、肥満・糖尿病の病態を示すマウスに薬物を投与し、治療効果を認めるかどうか解析する。薬物は高脂肪食に混餌する。ピオグリタゾンを陽性コントロールとして投与する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「直接経費次年度使用額」が生じたのは、平成24年度に計画していた研究の一部が遅延したためであり、当該助成金は平成25年度に繰り越した研究を行うために使用する。遅延していた以下の実験を行う。 1)脂肪組織炎症における可溶型MD-1の発現と機能に関して: 高脂肪食を摂餌した野生型マウスより内臓脂肪を採取し、脂肪組織炎症に伴い、可溶型MD-1を産生する細胞を同定する。細胞は以下のように分画・単離し、比較する。①SVF中のCD45陽性細胞とCD45陰性細胞、②CD45陽性細胞中のF4/80陽性マクロファージとF4/80陰性非マクロファージ、③F4/80陽性マクロファージ中のM1(炎症性)マクロファージとM2(抑制性)マクロファージ。以上のように段階的に分画・単離し、2分画を比較検討する。単離した細胞をin vitroで培養し、培養上清中のMD-1をELISA法で解析する。さらに分画した細胞の全RNAを抽出し、リアルタイムPCRでMD-1 mRNA発現を解析する。
|
Research Products
(4 results)