2012 Fiscal Year Research-status Report
インテグリン活性化制御の“乱れ”は免疫感受性を高めるか？
| Project/Area Number |
24590579
|
|---|
| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
| Research Institution | Mie University |
|---|
Principal Investigator |
島岡 要 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40281133)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 貴行 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30378286)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
| Keywords | 免疫 / 炎症 / 接着分子 |
|---|
| Research Abstract |
免疫細胞は生体防御能を維持するために、体内をくまなくパトロールしている。免疫細胞の血管内コンパートメントからリンパ組織や炎症部位など血管外コンパートメントへの移動には接着分子を介した血管内皮細胞との接着性相互作用が重要な働きをしている。その様な機能を果たす接着分子の代表であるインテグリンは標的臓器へのリンパ球ホーミング、さらには標的臓器内でのリンパ球活性化という免疫病の病態生理において重要な2つのステージで、細胞接着を制御している。インテグリン親和性がグローバルな構造変化により巧妙に制御され、ダイナミックに細胞接着をコントロールする。本研究ではインテグリン親和性制御の”要（かなめ）”を、点変異導入により破壊したノックインマウスを用いて、親和性制御の”乱れ”が免疫病の病態生理に与える影響の一端の理解が本研究により明らかになりつつある。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗原特異的なT細胞の振る舞いを詳細に解析するため、クローン化したT細胞受容体（OT-II)を発現したLFA-1ノックインマウスの細胞と組織の解析は進行している。
私たちはLFA-1ノックインマウスを作成し、その解析結果の第１報（T細胞の血管表面這行と血管内皮細胞間隙遊走が影響を受け、臓器特異的なリンパ球ホーミング異常：Blood 2010）を報告した後、このリソースに知的好奇心を示し、研究に使用したい研究者に自由に分配できるようにジャクソン・ラボラトリーにデポジットした（C57BL/6-Itgaltm1.1Mshi/J）。
また、インテグリン親和性制御バランスの”乱れ”(Aberrant Regulation)が、中枢神経系の炎症を主徴とする自己免疫疾患である多発性硬化症（Multiple Sclerosis）の病態に関わる様式と、インテグリンを標的とする治療法の効果と、致死的副作用であるProgressive Multifocal Leukoencephalopathy (PML)の発生機序、さらにいかにPMLを臨床的に予防するかについてを俯瞰した英文総説を執筆・出版した（Kawamoto et al. Autoimmune Diseases 2013）。
|
| Strategy for Future Research Activity |
当初計画したように、T細胞が血管内皮細胞を通り抜けた後に”出会う”、抗原提示細胞との接着(免疫病病態生理に重要)へと研究を進展させる。LFA-1親和性制御の”乱れ”が、 T細胞共シグナル異常をきたし、T細胞の増殖と分化に影響を与え、ひいては免疫病発症への感受性上昇につながるかどうかという点について、①LFA-1制御異常の単独インパクトと、②他の免疫病促進因子(lpr)との協調によるインパクトを解明するために研究を行う。
インテグリンの制御異常は免疫病の病態と深くつながっており、リンパ球に発現するインテグリンは治療標的である。しかし、白血球インテグリンの機能を全面的に阻害することは医原性の免疫不全を誘導し、不顕性JCウィルスの再活性化にともなう致死性脳症PMLが一部患者で発症する。 したがって、インテグリン機能制御異常の病態をより深く理解することが急務であると考えられる。このような臨床医療上の重要な問題点についても考慮して研究をおこなう。
|
| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(5 results)
