2012 Fiscal Year Research-status Report
IL-18誘導性ヘルパーNK細胞と抗腫瘍性γδ型T細胞との相互作用解析
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24590581
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田中 義正 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90280700)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | γδ型T細胞 / IL-18 / ヘルパーNK細胞 / がん / NK細胞 / 細胞療法 / IL-2 |
Research Abstract |
がんに対する新規免疫細胞療法確立のために、80症例の末梢血単核球についてγδ型T細胞の割合を検討した結果、乳がん初期にはγδ型T細胞の割合が比較的多い症例が多く、病期が進むにつれγδ型T細胞の割合が減少した。また、IL-18の存在下および非存在下で窒素含有型ビスホスホン酸刺激を行い、γδ型T細胞の増殖誘導におけるIL-18依存性を確認した。その結果、IL-2/IL-18誘導性ヘルパーNK細胞が存在すると、γδ型T細胞の増殖が有意に亢進することが明らかとなった。次に、ヘルパーNK細胞の増殖誘導と、γδ型T細胞の増殖誘導との間にどのような関係があるのか経時的および定量的に検討した結果、IL-2/IL-18刺激により、まず、ヘルパーNK細胞が誘導され、その後、γδ型T細胞の増殖が誘導されることが明らかとなった。その結果、IL-18の存在下においては、非存在下と比較し、約10倍のヘルパーNK細胞増殖亢進が観察され、そのヘルパーNK細胞の作用により、γδ型T細胞の増殖が2倍から3倍に加速された。次に、ヘルパーNK細胞がどのようなメカニズムでγδ型T細胞の増殖を促進するか検討を行った。ヘルパーNK細胞に関しては、CD3を除去した末梢血単核球をIL-2/IL-18で刺激し、99%の精製度でラインを樹立した。また、γδ型T細胞に関しては、窒素含有型ビスホスホン酸を用いて増殖誘導を行い、99%の精製度でラインを確立した。このようにして樹立したラインをそれぞれ赤と緑の色素で染色し、単純に混合培養した結果、ヘルパーNK細胞とγδ型T細胞は細胞塊を形成した。これらの結果より、ヘルパーNK細胞は、細胞間接触依存的にγδ型T細胞の増殖誘導を促進することが明らかとなった。さらに、IL-2/IL-18誘導性ヘルパーNK細胞とIL-2誘導性NK細胞との比較を行うためにオミックス解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、70名のがん患者の検討に加え、さらに10名のがん患者の検討を行い、計80名からの検体でγδ型T細胞の割合を測定した。その結果、臨床統計的に有意な差を見いだすことができた。すなわち、乳がん患者において、がん初期においては、有意にγδ型T細胞が多い患者が一定数いるが,病期の進行と共に、逆にγδ型T細胞の減少が観察された。これは、80症例という症例数の検討をした結果得られたもので、研究計画が順調に進んでいることを示している。また、IL-2/IL-18誘導性ヘルパーNK細胞ラインの確立方法およびγδ型T細胞ラインの確立方法が樹立でき、さらに、オミックス解析を行ってデータを得たので、今後研究を展開する上での基盤を形成することができた。以上を考慮すると、進捗状況としては、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は主として、ヘルパーNK細胞とγδ型T細胞との相互作用を詳細に検討するためのツール作りを行う。具体的には、ヘルパーNK細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体と、γδ型T細胞を認識する特異的抗体を作成し、平成26年度の研究に繋げる。モノクローナル抗体を作成するためには、ラットやマウスの飼育施設、フローサイトメーター、細胞培養施設が必要になるが、これらに関しては、平成24年度において、整備を行うことができたので、問題なく研究が実施できる。また、患者検体を用いた研究のために当該医療施設における倫理委員会の承認を得、研究が可能な状況になっている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、主として、モノクローナル抗体の作成を行うため、培養関連器具および試薬を購入する必要がある。また、コントロールとして、種々の抗体が必要となる。また、細胞の調製のために、抗原を用意する必要があるため、その合成のための試薬も購入する必要がある。さらに、初年度得られた結果を出版するために、論文投稿に関する支出も必要になる。また、細胞の機能変化を検討するために、ELISAを行うための試薬や器具も必要になるため、キットや試薬を購入する必要がある。このように、次年度は主として、試薬や器具類の消耗品を主として購入する。
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Research Products
(17 results)