2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590582
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植松 智 東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (50379088)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腸管粘膜固有層 / 樹状細胞 / Toll-like receptor / マクロファージ / 自然免疫 |
Research Abstract |
腸管は食物の吸収や常在細菌叢との共生のため、免疫寛容を誘導して炎症などを抑制する一方で、侵入してくる病原体に対しては適切に認識を行い、免疫反応を誘導して排除を行う。しかし、どのような細胞が病原体を認識するか、またいかにして免疫寛容を凌駕し免疫系を活性化させるかについては殆ど分かっていなかった。我々は、小腸の粘膜固有層には、2種類の樹状細胞(DC)、マクロファージ、好酸球の4つのサブセットからなることを報告し、各サブセットの機能を解析している。CD11chighCD11bhighの樹状細胞が特異的にToll-like receptor (TLR)5を発現しており、IgA産生形質細胞の分化や、抗原特異的なCD4+ヘルパーTH1細胞とTH-17細胞の分化をTLR5の刺激依存的に誘導出来ることを明らかにした。現在、この細胞を標的として、腸管粘膜での抗原特異的なIgA産生を誘導出来る免疫法の確立を行っている。また、無菌性炎症の代表である急性放射線腸炎モデルを用いて、代表的な自然免疫受容体ファミリーであるToll-like receptor腸炎増悪メカニズムを検討した。各TLRファミリー欠損マウスをスクリーニングした結果、TLR3欠損マウスが著しく急性放射線腸炎に対して抵抗性を示すことが明らかになった。常在性マクロファージの炎症刺激に対するサイトカイン産生や、慢性炎症時の線維化に関して好酸球の役割を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワクチン標的細胞が同定され、DNAワクチン接種によって、粘膜面での抗原特異的なIgA産生はきちんと認められている。また、放射線腸炎におけるTLR3の役割が分かり、これまで病態も治療法もなかった放射線腸炎の病理メカニズムが明らかになった。腸管粘膜固有層の各種自然免疫細胞群の役割に関して、個々にユニークな機能があるという端緒を明らかにすることが出来ている。研究計画以上の結果が出ており、今後の解析でより詳細な機能が明らかとなり十分に研究計画が達成出来ると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
腸管粘膜固有層の好酸球(CD11cintCD11bhi)において、各種サイトカイン受容体の発現やTLRの発現をqPCRによって検討する。また、IL-4, IL-5, IL-13, IL-33といったTh2サイトカインで刺激をして、炎症性メディエーターや組織傷害性分子の誘導をRT-PCR, ELISA, DNA microarrayによって網羅的に解析を行う。MHC class IIと共刺激分子の発現を検討し、抗原提示能があるかも解析を行う。またこの好酸球のin vivoでの役割も検討する。GATA-1は未熟な骨髄系の前駆細胞から赤芽球、巨核球、好酸球への分化に必須の転写因子である。GATA-1欠損マウスは重篤な貧血のために胎生致死であるが、GATA-1の発現を正にオートレギュレーションするエンハンサーのGATA結合領域(dblGATA)を欠損させたマウスΔdblGATAマウスでは、貧血の表現型はなく好酸球が特異的に消失している(Dyer KD, J Immunol 179:1693,2007)。我々は、ΔdblGATAマウスをジャクソンから購入しており、解析の結果、腸管粘膜固有層の樹状細胞が完全に消失していることを確認している。ΔdblGATAマウスを用いて、腸管寄生虫感染モデルや食物アレルギーモデルで解析を行い、腸管粘膜固有層における好酸球の感染防御及びアレルギー疾患におけるエフェクター機能を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、分子生物学的手法にのっとり野生型や遺伝子改変マウスの解析を行う。実験を遂行する上で、試薬類やディスポ製品、ガラス器具など購入する必要がある。また、遺伝子改変マウスの系統の維持のために、実験動物の購入及びコントロール用のマウスを購入する必要がある。加えて、研究打ち合わせに関わる旅費や、これまでの成果を国内・国外において発表するための旅費を必要とする。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Bacterial sphingophospholipids containing non-hydroxy fatty acid activate murine macrophages via Toll-like receptor 4 and stimulate bacterial clearance.2013
Author(s)
Fujiwara N, Porcelli SA, Naka T, Yano I, Maeda S, Kuwata H, Akira S, Uematsu S, Takii T, Ogura H, Kobayashi K.
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Journal Title
Biochim Biophys Acta.
Volume: 1831(6)
Pages: 1177-1184
DOI
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[Journal Article] PRAT4A-dependent expression of cell surface TLR5 on neutrophils, classical monocytes and dendritic cells.2012
Author(s)
Shibata T, Takemura N, Motoi Y, Goto Y, Karuppuchamy T, Izawa K, Li X, Akashi-Takamura S, Tanimura N, Kunisawa J, Kiyono H, Akira S, Kitamura T, Kitaura J, Uematsu S, Miyake K.
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Journal Title
Int Immunol.
Volume: 24(10)
Pages: 613-23.
Peer Reviewed
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[Journal Article] Systemic flagellin immunization stimulates mucosal CD103+ dendritic cells and drives Foxp3+ regulatory T cell and IgA responses in the mesenteric lymph node.2012
Author(s)
Flores-Langarica A, Marshall JL, Hitchcock J, Cook C, Jobanputra J, Bobat S, Ross EA, Coughlan RE, Henderson IR, Uematsu S, Akira S, Cunningham AF.
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Journal Title
J Immunol.
Volume: 189(12)
Pages: 5745-54
DOI
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