2013 Fiscal Year Research-status Report
抗原特異的液性免疫応答におけるDOCK2の役割とその制御
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24590586
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
錦見 昭彦 北里大学, 理学部, 准教授 (70404019)
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Keywords | B細胞 / シグナル伝達 / 細胞骨格 / Rac / 免疫シナプス |
Research Abstract |
脾臓やリンパ節などの二次リンパ組織において、B細胞は他の細胞上に提示された抗原を認識して活性化される。この際、抗原提示細胞との接触面に免疫複合体や接着因子(LFA-1/ICAM-1複合体など)が集積する免疫シナプスを形成することにより、抗原受容体を介したシグナルが効率よくB細胞に伝達される。前年度の研究において、B細胞の抗原刺激に応答したRac活性化を担う分子としてグアニンヌクレオチド交換因子DOCK2を同定した。本年度は、免疫シナプス形成におけるDOCK2の役割を検討するために、in vitroで抗原提示細胞とB細胞の相互作用における分子の動態を可視化するシステムを作出した。まず、細胞表面にニワトリ卵白リゾチーム(HEL)-GFP融合タンパクならびにICAM1を発現する構成的に発現する細胞を作製し、抗原提示細胞とした。この細胞と、HELを認識する抗原受容体を発現するマウス由来のB細胞との間に免疫シナプスを形成させ、免疫複合体や接着因子の局在を観察した。その結果、DOCK2欠損B細胞において、免疫複合体の集積が障害されていることが明らかになった。また、抗原提示細胞を介してB細胞を刺激したところ、DOCK2欠損B細胞において、野生型のものと比較して増殖応答が低下していることが示された。以上のことから、DOCK2はB細胞の免疫シナプス形成と、これを介したシグナル伝達系に不可欠な因子であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroにおいて、B細胞の免疫シナプスを形成させ、この際の分子の動態を可視化する系を構築し、DOCK2が免疫シナプスにどのように関与しているのかを示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
DOCK2欠損マウスにおける液性免疫応答低下が、B細胞の異常に起因するものであることを確認するために、抗原受容体ノックインマウス由来のB細胞を野生型マウスに移入し、抗原刺激に応答した増殖、分化、動態を検討する。得られた結果から、個体の液性免疫応答において、DOCK2を介したシグナルが担う役割を明らかにする。
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Research Products
(3 results)