2012 Fiscal Year Research-status Report
TCRマイクロクラスターと補助刺激受容体ネットワークによるT細胞活性調節の解明
Project/Area Number |
24590590
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
横須賀 忠 独立行政法人理化学研究所, 免疫シグナル研究グループ, 上級研究員 (10359599)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 免疫学 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
自己免疫やアレルギー疾患の発症機序の1つに、補助刺激受容体からのシグナルによるT細胞活性化の不均衡がある。我々はこれまで、イメージング解析を基に、T細胞の活性化がT細胞受容体(TCR)シグナル活性化ユニット「TCRマイクロクラスター」からの第一シグナルと、補助刺激受容体からの第二のシグナルとによって協調的によって制御されていることを明らかにしてきた。本課題研究では、補助刺激受容体の中でも、Inducible costimulator(ICOS)とProgrammed cell death-1(PD-1)はこれらシグナル伝達ユニットのイメージング解析を行うことで、T細胞活性化制御のメカニズムを明らかにする。 PD-1およびICOSの分子イメージング解析を行うため、リガンドであるPD-L1/PD-L2およびICOSLのGPIアンカー型タンパクを作成し、プレイナーメンブレンに再構築した。プレイナーメンブレン作成で用いるGPIアンカー型クラスII分子、PD-L1/PD-L2、ICOSLを再構築した球状人工脂質二重膜も作成し、メンブレン上と実際の抗原提示細胞との分子密度を厳密に調整、生理学的なT細胞の応答との相関を評価した。実験のターゲットとなるPD-1やICOSに蛍光蛋白を付加し、それらをマウスT細胞やT細胞腫瘍株に遺伝子導入した。また、下流の細胞内シグナル伝達分子の蛍光蛋白キメラ分子を作製し、同様な遺伝子発現細胞や腫瘍細胞株を樹立した。これら、PD-1およびICOSと細胞内シグナル伝達分子の蛍光蛋白キメラ分子とプレイナーメンブレンを用い、TCRマイクロクラスターおよびc-SMACとの共局在、および細胞内・細胞表面での挙動を、共焦点レーザー顕微鏡または全反射蛍光顕微鏡にて観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PD-1およびICOSのリガンドであるPD-L1およびICOSLのGPIアンカー型蛋白の作成には成功し、プレイナーメンブレンに再構築した。PD-L2-GPIの精製は、蛋白量が少なく実験が困難であり、今後、手技的な改良の必要性がある。GPIアンカー型クラスII分子、PD-L1、ICOSLを用いた球状人工脂質二重膜を作成し、標準的な抗原提示細胞である活性化B細胞と比較しながら、細胞表面発現分子の密度を調製した。PD-1-PD-L1結合によるT細胞活性化の抑制は、サイトカインIL-2産生の低下により示すことが出来た。ICOS-ICOSL結合によるT細胞応答の増強は、IL-2産生では見られるものの、ICOSが関与するヘルパーT細胞の分化制御因子エフェクターサイトカインでは不明であった。PD-1とICOS、および、それら下流の細胞内シグナル伝達分子の蛍光蛋白キメラ分子を作製し、同様な遺伝子発現細胞や腫瘍細胞株を樹立、プレイナーメンブレンでのイメージングを行い、TCR刺激およびリガンド結合によるクラスター形成の相違を分類した。
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Strategy for Future Research Activity |
1分子レベルでの観察や細胞表面分子のハイスピード撮影が可能な高感度全反射型蛍光顕微鏡を用いて、PD-1、ICOSおよび細胞内シグナル伝達分子のさらなる微細な構造や挙動を観察する。ICOSのシグナル伝達を解析するため、ICOSの細胞内領域にあるチロシンモチーフYMFMに変異を加え、細胞内領域および下流のシグナル伝達分子、特にフォスファチジルイノシトール3リン酸化酵素(PI3K)のクラスター形成への寄与を解明、生理学的解析結果との比較から生物学的意義を検討する。イメージング解析で得られたPD-1およびICOSのマイクロクラスターと、実際のT細胞が示す生理学的反応とを比較検討するため、それぞれの遺伝子欠損マウス由来のT細胞を用い、T細胞の生理学的特性を解明する。また、各遺伝子欠損マウスT細胞に蛍光キメラ蛋白を遺伝子導入し、PD-1およびICOS欠損条件下での分子動態を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)