2013 Fiscal Year Research-status Report
TCRマイクロクラスターと補助刺激受容体ネットワークによるT細胞活性調節の解明
Project/Area Number |
24590590
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
横須賀 忠 独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 上級研究員 (10359599)
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Keywords | 免疫学 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
T細胞の活性化は、T細胞受容体(TCR)からの第1シグナルの他に、補助刺激受容体からの第2のシグナルによって厳格に制御されている。補助刺激受容体には正・負の各々の機能を持つ受容体が複数存在し、それらからのシグナルが統合的にT細胞の活性化を調節し、その不均衡によって自己免疫疾患やアレルギーなどが発症されるといわれている。本研究課題では、T細胞活性化に必須なシグナル伝達ユニット「TCRマイクロクラスター」を基本的な概念とし、イメージング解析により、複雑なT細胞補助刺激受容体シグナルネットワークの解明を試みる。 突然変異誘発マウススクリーニングから、リンパ球特異的アクチン脱キャッピング分子Rltprを同定した。変異型Rltpr発現T細胞は、CD28欠損T細胞と同様に、TCR刺激に対するT細胞活性化の低下を示した。Rltprのイメージン解析から、Rltprが、正の補助刺激受容体CD28とそのリガンドとの結合に依存して、Rltpr自身のクラスター形成を行うことが分かった。また、変異型Rltpr発現T細胞では、正常T細胞の活性化に必須の、CD28下流の正のシグナル伝達分子プロテインキナーゼCθと足場蛋白CARMA1の複合体とのクラスターの形成が障害された。さらに、Rltpr変異マウスでは、自己免疫疾患やアレルギーの発症を抑制しているT細胞サブセット制御性T細胞の分化が障害されており、Rltprがマウス固体でも獲得免疫応答の調節に重要な機能を有していると考えられた。Rltprはアクチンの重合の他に、補助刺激受容体からのシグナルを調節するという、新たなカテゴリーの多機能シグナル伝達分子である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に副刺激受容体ネットワークの構築に重要なCD28を介する新たなT細胞制御機能を解明できたこと、また、アクチン重合と副刺激受容体をつなぐ分子という新たなパラダイムを開けたことの成果は高い。ただ、実験計画に含めていた第2の正の補助刺激受容体ICOSのイメージング解析では、その下流のシグナル伝達分子の可視化までに止まり、PD-1やICOSが機能や分化に重要と考えられている制御性T細胞や濾胞T細胞への研究に応用できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
自己免疫疾患やアレルギーの発症に関与する実際のT細胞サブセットにおける補助シグナルネットワークの機能を解明する。制御性T細胞では、負の補助刺激受容体CTLA-4やPD-1が機能的に重要な役割を担っていることが生理学的な見地から明らかとなっている。一方、そのメカニズムの詳細は不明な点が多く、新たなCTLA-4のシグナル伝達分子の同定を基に、制御性T細胞を介した免疫抑制メカニズムの解明を行う。また、濾胞T細胞では、負の補助刺激受容体PD-1と正の補助刺激受容体ICOSが発現しているものの、その生理機能は明らかとなっていない。TCRマイクロクラスターを基盤としたイメージング解析から、PD-1およびICOSの挙動を明らかにし、濾胞T細胞がB細胞へのクラススイッチやプラズマ細胞分化へと誘導する仕組みを解明する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] The lymphoid lineage-specific actin-uncapping protein Rltpr is essential for costimulation via CD28 and the development of regulatory T cells2013
Author(s)
*Yinming Liangv, *Margot Cucchetti, *Romain Roncagalli, *Tadashi Yokosuka, Aurelie Malzac, Elodie Bertosio, Jean Imbert, Isaac J Nijman, Miloslav Suchanek, Takashi Saito, Christoph Wulfing, Bernard Malissen, Marie Malissen (*equally contributed)
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Journal Title
Nature Immunology
Volume: 14
Pages: 858-866
DOI
Peer Reviewed
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