2012 Fiscal Year Research-status Report
地域医療に従事する医師・看護師の適正配置と負担軽減に関する総合的研究
Project/Area Number |
24590592
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
西條 泰明 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70360906)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地域医療 / 地図情報 / アクセス時間 / 労働負荷 / ストレス |
Research Abstract |
(1)「地理情報システムを用いた中核病院分布・医師数の医療アウトカムへの影響」: 単変量解析では、虚血性心疾患SMRについて、アクセス時間が90分以上の群が30分未満の群に比べて有意に上昇していた(オッズ比(OR)=3.72、P=0.048)。また、所得指数のORも有意に上昇していた。医療施設従事者数は有意の関連を認めなかった。脳血管疾患SMRについて、アクセス時間が90分以上の群が30分未満の群に比べて上昇する傾向を認めた(OR=3.09、p=0.060)。医療施設所属医師数や所得指数は有意差を認めなかった。多変量解析(アクセス時間、医療従事者数、所得指数を同時投入)では、虚血性心疾患SMRについて、アクセス時間が90分以上の群に上昇の傾向を認め(OR=3.60、P=0.065)。また、所得指数のオッズ比も有意に上昇していた。医療施設従事者数に有意の関連を認めなかった。脳血管疾患SMRについて、多変量解析では、アクセス時間、所得指数、医療施設所属医師数とも有意差を認めなかった。経済要因の影響も考えられるが、90分以上のアクセス時間は予後に影響を与える可能性が考えられることは、医療の救急アクセスを考える上で重要で、医療機関のアクセス時間の格差を縮小していくことを考慮すべきと考えられる。 (2)「地域医療における看護師等パラメディカルの労働負荷・ストレスと離職に影響する要因」では、4つの地域医療の病院の看護師にアンケート調査を行い、1062名から回答を得た。病院を移りたいと考えているのが16.4%、看護師の仕事を辞めたいと考えているのが9.4%、職業性ストレス簡易調査票で全国平均より、量的負担が高くコントロールが低いこと、CES-Dで16点以上が46.7%と高いことなど、道北の地域医療のための病院の看護婦について多くの人数ではじめてメンタルヘルスの問題が明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)「地理情報システム(GIS)を用いた中核病院分布・医師数の医療アウトカムへの影響」については、当初の計画通り北海道の市町村・2次医療圏毎に人口動態統計データをによる心疾患、脳血管疾患の標準化死亡比(SMR)への影響しついて、GISソフトを用いて、アクセス時間を計算し、医師数、所得指数などの要因も考慮した解析を行い、90分以上の影響について明らかにできた。 (2)「地域医療における看護師等パラメディカルの労働負荷・ストレスと離職に影響する要因」についても、当初の2施設から翌年度予定の2施設も質問票調査を行い、労働負荷、ストレスと離職の状況を明らかにでき、質問票調査自体は前倒しで達成できたが、施設が増えた分、集計結果を各医療機関に説明して、実際の状況からの意見を受けての詳細な多変量解析が25年度にまとめて行うこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)「地理情報システム(GIS)を用いた中核病院分布・医師数の医療アウトカムへの影響(西條、吉田、中木)」 北海道の市町村・2次医療圏毎に人口動態統計データを用いる。各年の妊産婦死亡率、新生児死亡率と周産期死亡率を抽出し、1000人あたりの死亡率として算出する。単年度でデータが安定しないことが予想されるので、5年分をまとめることを考慮する。また、各市町村・医療圏毎の医師数、産婦人科医、小児科医についても調査を行う。さらに、GISソフト用いて、各市町村の市役所・町村役場所在地から一番近い中核病院への移動距離を算出する。中核病院については、産婦人科医、小児科医がそれぞれ2名以上常駐し、救急への対応体制が十分と考えられる施設を同定する。各地の各科の医師数の増加、もしくは減少といった経年的変化、社会経済要因として所得指数も考慮して、中核病院までの移動距離と各市町村の妊産婦死亡率、新生児死亡率、周産期死亡率の相関を検討し、医師数の減少率が大きいほど、また中核病院への移動距離が長いほど、妊産婦死亡率、新生児死亡率、周産期死亡率が増えるといった影響がないか等について検討を行う。 (2)「地域医療における看護師等パラメディカルの労働負荷・ストレスと離職に影響する要因(西條、吉岡)」 平成24年度の集計結果のフィードバックを医療機関に行い、その意見を考慮して、平成24年度の結果の詳細解析と結果に基づく、各医療機関への医療職ストレス軽減のための方策を検討し、各病院への提言を行い、今後の介入研究への基礎資料を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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