2013 Fiscal Year Research-status Report
地域医療に従事する医師・看護師の適正配置と負担軽減に関する総合的研究
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24590592
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
西條 泰明 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70360906)
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Keywords | 地域医療 / 地図情報 / アクセス時間 / 労働負荷 / ストレス |
Research Abstract |
1. 地理情報システムを用いた中核病院分布・医師数の医療アウトカムへの影響: 175市町村からの周産期拠点病院へのアクセス時間、市町村の所得指標、二次医療圏毎の小児科医数を説明変数。アウトカムは乳児死亡と新生児死亡は第3三分位、周産期死亡は第4四分位。粗解析では二次医療圏毎の小児科医数について、各指標に対して保護的なオッズ比となる傾向を認めた。アクセス時間では、周産期死亡率に対し120分以上がオッズ比を有意に上昇したが(OR=5.00、p=0.037)、30分~60分未満では逆に有意にオッズ比を低下した。多変量解析では乳児死亡率、新生児死亡率に対し小児科医数の保護的オッズ比は有意となり、新生児死亡に対し90分以上が有意にオッズ比を低下した。周産期死亡に対し、30~60分未満は有意にオッズ比を低下していたが、120分以上にはオッズ比上昇の傾向も消失した。アクセス時間の周産期アウトカムへの影響ははっきりしなかったが、医師数が関連していた。 2.地域医療における看護師等パラメディカルの労働負荷・ストレスと離職に影響する要因:4 地域医療の病院の900名が解析対象。病院離職の意思ありに対し有意な関連は、高要求度OR 1.62、低コントロールOR 2.14、低上司サポートOR 2.59であった。うつ症状ありでは、労働時間50-59h/週 OR 1.68 、労働時間≧60h/週 OR 1.88 、高要求度OR 1.69 、低コントロールOR 2.38、低上司サポートOR 1.41、低同僚サポートOR 1.48 、低家族/友人サポートOR 1.84。病院離職の意思・うつ症状については、職業要因として上司のサポートや仕事のコントロールが有意な関連を認め、上司のサポートや仕事のコントロール対策が必要な可能性が示唆された。また、うつ症状では加えて長時間労働と、要求度も有意な関連みとめ、過重労働対策や仕事の負担を減らす対策も必要な可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)「地理情報システム(GIS)を用いた中核病院分布・医師数の医療アウトカムへの影響」については、当初の計画通り北海道の市町村・2次医療圏毎に人口動態統計データによる心疾患、脳血管疾患への影響について、医師数や経済要因を調整しても90分以上のアクセス影響について初年度明らかになり、周産期アウトカムへのアクセス時間の影響については、医師数や経済要因を調整した解析の結果、小児科医師数が関連し、アクセス時間の影響については、はっきりしないことが明らかにできた。 (2)「地域医療における看護師等パラメディカルの労働負荷・ストレスと離職に影響する要因」についても、当初の計画通りに、地域の4医療機関の質問票調査から初年度に労働負荷、ストレスと離職の状況を明らかにでき、離職の医師やうつ症状をアウトカムとしたで多変量解析によって、上司のサポートや仕事のコントロール対策が必要なことを明らかにし、各医療機関へのフィードバックもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)中核病院へのいわゆる「コンビニ受診」防止の取り組みと医師・看護師の負担(西條) 北海道内の2次救急指定医療機関への郵送による質問票調査により行う。質問項目は、時間外外来利用者数、救急車搬送数、時間外来救急外来での軽症者への追加の自己負担設定の有無、医療機関や地域住民による救急外来受診適正化のための啓発活動についてと、救急外来受診者数の増減、医師・看護師の負担への影響について調査を行う。 (2)研究のまとめ 域医療を効率的に行うための病院の適性配置については、医療機関追加のアクセス時間改善の改姓を追加して行い、それに加えて、地理情報システム(GIS)を用いた中核病院分布・医師数の医療アウトカムへの影響、中核病院へのいわゆる「コンビニ受診」防止の取り組みと医師・看護師の負担、看護師等のパラメディカルのストレス要因とその適正化策、地域医療における看護師等パラメディカルの労働負荷・ストレスと離職に影響する要因、救急外来受診行動適正化と救急外来に携わる医師・看護師の負担提言への対策をまとめる。
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